金杉英五郎

金杉英五郎(1865年-1942年)は、日本の近代医学史、そして政治史において重要な足跡を残した人物です。医学博士として耳鼻咽喉科の専門家としてのみならず、政治家としても衆議院議員、貴族院議員を歴任しました。

金杉は、下総国香取郡古城村の名主の子として生まれ、叔父である内務省書記官の養子となりました。東京帝国大学医科大学で医学を修めた後、ドイツのヴュルツブルク大学とエアランゲン大学に留学し、研鑽を積みました。帰国後は、高木兼寛が経営する東京病院（現在の東京慈恵会医科大学附属病院）に勤務しながら、東京慈恵医院医学校（現在の東京慈恵会医科大学）で教鞭をとりました。

彼の最も大きな功績は、耳鼻咽喉科という新たな医学分野を日本で確立したことでしょう。それまで内科と外科に分類されていた関連疾患を体系的にまとめ、独立した専門領域として確立したのです。これは世界に先駆けた画期的な取り組みであり、その功績は「本邦ニ於テ首メテ耳鼻咽喉科ヲ開設シタルハ本院ニシテソノ第一回部長タルハ将ニ不肖ナリ」という彼の言葉にも表れています。東京耳鼻咽喉科学会（現在の日本耳鼻咽喉科学会）の創設にも携わり、多くの優れた医師を育成しました。

医学界での活躍に加え、金杉は政治の世界にも進出しました。1917年、東京府東京市から無所属で第13回[[衆議院議員総選挙]]に当選し、国政に携わります。その後、1920年の第14回総選挙では惜しくも次点で落選しましたが、1922年には貴族院議員に勅選され、死去するまでその職務に当たりました。

金杉の家族については、妻に金杉タキ（大藪房次郎の長女）、三男に金杉台三（尾高次郎の娘婿）がいました。また、甥である金杉進の岳父には杉山茂丸がいます。1928年には勲三等瑞宝章を受章するなど、その功績は広く認められました。

金杉英五郎の生涯は、医学の進歩と政治への貢献を両立させた稀有な例といえるでしょう。彼は耳鼻咽喉科という専門分野を開拓し、日本の医学水準を高めるとともに、政治家として国政にも参画しました。その功績は、現代の医療界、そして政治界にまで大きな影響を与え続けています。彼の墓所は青山霊園にあります。彼の業績は、日本の医学史、政治史において重要な位置を占め、後世に語り継がれるべきものです。彼の尽力は、現代の医療の発展に大きく貢献しており、その功績は現在も高く評価されています。 金杉英五郎という名は、日本の近代医学と政治史に、深く刻み込まれたと言えるでしょう。

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