金永春

金永春（キム・ヨンチュン）

金永春（きん・えいしゅん）は、1936年3月4日に生まれ、2018年8月16日に逝去した北朝鮮の軍人及び政治家です。彼は朝鮮人民軍の重要な役職を歴任し、特に朝鮮人民軍総参謀長としての立場が際立っています。

経歴

金永春は咸鏡北道会寧で生まれました。彼は朝鮮の解放後、万景台革命学院や姜健総合軍官学校に入学し、さらにはソ連のフルンゼ軍事アカデミーに留学してその後、軍部内でのキャリアを築きました。彼は1971年から総参謀部の上級参謀や軍団参謀部副部長を経て、1979年からは総参謀部局長の職に就きます。

1980年には党中央委員候補に選ばれ、1982年からは朝鮮人民軍の連合部隊や総参謀部の重要な役職で活動。その後1986年には党中央委員に、同年には作戦局長に指定されました。1992年には大将に昇格したものの、作戦局長時代の過誤により左遷されることとなります。1994年には第6軍団の指揮官に任命され、同年の金日成の死後、金正日の信任を得ました。

金永春は1995年10月、人民軍次帥の称号を授与され、その翌月からは総参謀長に任命されました。彼は彼の在任中に、複数の韓国への挑発行為（江陵浸透事件や第一次・第二次延坪海戦など）を主導したと言われ、多くの歴史的事件に関与していました。

1998年には国防委員会の委員に選出され、2007年には副委員長に就任。2008年の建国60周年の際には金正日が不在の中で演説を行いました。2009年には人民武力部長に任命され、金正日の近くで活動していました。

軍人としての影響

2010年10月に党政治局委員に昇進した後、2011年には韓国メディアによって彼の権威が低下したとの報道がなされました。これにより北朝鮮軍内部に混乱が生じているとの懸念が存在しましたが、その後も金永春は重要な役割を果たしていました。彼は2011年の金正日国葬時には序列5位として行進に参加するなど、依然として影響力を持ち続けていました。

2012年4月には人民武力部長の任を解かれ、その後党中央委員会部長に転出します。2014年には国防委員会の副委員長を退任し、人民武力省の総顧問に就任しました。2016年には元帥に昇進し、再び政治の表舞台に立ちましたが、同年報道では党内の序列から外れることが明らかになりました。

人物像

金永春は、著者である姜哲煥から「金正日の好みに合わせる機を見るに敏な政治的嗅覚を持っているが、残忍で恐ろしい一面もある」と評されました。また、彼は金正恩の母、高容姫を称賛する活動を推進し、特定の軍の反体制勢力を厳しく取り締まったことで知られています。1996年の第6軍団事件での処刑は特に有名で、逮捕された軍人たちは厳しい拷問を受け、残忍な方法で処理されたとされています。

彼の死

金永春は2018年に82歳で亡くなり、金正恩が国家葬儀委員会の委員長として彼の葬儀を取り仕切りました。彼の長い軍歴と政治的な活動は、北朝鮮の歴史の中で重要な位置を占めています。彼の存在は、北朝鮮の軍事や政治における複雑さを示す一例となっています。

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