金町松戸関所

金町松戸関所

金町松戸関所は、江戸時代初期の慶長年間（1596年～1615年）に、江戸を防衛する重要な拠点として設置された関所です。水戸街道が江戸川を渡る地点、現在の東京都葛飾区東金町に位置し、対岸の松戸宿とを結ぶ渡船場を利用していました。この関所は、金町関所とも呼ばれています。

概要

この関所は、利根川水系と水戸街道が交わる場所に設けられ、金町と松戸の間を往来する人々や物資を監視していました。元和2年（1616年）には、徳川家康の死後、関東の主要な河川渡船場が定められ、その一つとして金町松戸関所も設置されました。関所には常時4名の役人が配置され、「重関所」として厳重な警備体制が敷かれていました。

特に「入鉄炮に出女」の取り締まりが厳しく、江戸への武器の持ち込みと、江戸から出る女性の監視が徹底されていました。明治2年（1869年）に関所が廃止されると、建物は全て取り壊され、現在ではその跡地は江戸川の河川敷となっています。しかし、2003年（平成15年）には、東京都下水道局金町ポンプ所の隣に「金町関所跡之記」の石碑が建てられ、その歴史を今に伝えています。

関所で使用されていた関所印や硯箱は、葛飾区郷土と天文の博物館に保存されており、当時の様子を垣間見ることができます。

関所の設置と位置

金町松戸関所は、水戸街道沿いに設けられた唯一の関所でした。江戸川を挟んで金町と松戸の渡し場が関所の拠点となり、その立地から「金町松戸関所」と呼ばれました。

延享2年（1745年）に作成された『金町松戸御関所絵図』には、「金町宿の端、利根川（江戸川）に越谷川が流れ込む地点に、両側を川に囲まれた小規模な関所があった」と記されています。

定船場の掟

元和2年（1616年）に定められた定船場の掟書では、江戸を出る女性や負傷者の取り締まりが特に厳しく定められていました。また、寛永8年（1631年）には、幕府の重臣連署のもと、東国各地の関所に関する規定が示され、不審者の取り締まりと捕縛者への褒賞が定められました。この規定書には、金町松戸関所を含む、主要な関所の場所が明記されています。

関所の位置づけ

「諸国御関所書付」によると、金町松戸関所は、房川渡中田[[関所]]、小岩市川[[関所]]、小仏関所、新郷川俣[[関所]]と並び、重要な関所として位置づけられていました。これらの関所は、江戸の防衛において重要な役割を担っていました。

寛政期の関所間の異動

寛政期には、関所の番人の異動が活発に行われ、金町松戸関所においても、房川渡中田[[関所]]との間で番人の異動がありました。具体的には、足立孝右衛門が金町松戸関所から房川渡中田[[関所]]へ異動し、代わりに小岩市川[[関所]]の矢嶋勘四郎が金町松戸関所の番人となりました。

関所の検閲

金町松戸関所では、「入鉄炮出女」の取り締まりが厳重に行われていました。「入鉄炮」は、江戸に武器が持ち込まれるのを防ぐため、「出女」は、大名の妻女が人質として江戸に置かれている状況下で、勝手に領国へ脱出するのを防ぐためのものでした。この取り締まりは、幕府の治安維持政策の重要な一部でした。

関所の廃止と文化財

明治2年（1869年）に、関所は廃止され、跡地はゴルフ場へと姿を変えました。しかし、金町松戸関所関連の文化財として、「金町・松戸関所文書 2冊 附関所印 他」が葛飾区の指定文化財に指定されています。また、東金町8-23には金町関所跡碑が建てられており、その歴史を今に伝えています。

注釈

関所は、当時の社会において重要な役割を果たしていました。その取り締まりは厳しく、人々の移動や物資の流通に大きな影響を与えていました。

出典

参考文献に挙げられた資料は、関所の歴史や役割についてより詳細な情報を提供しています。

参考文献

石岡康子「房川渡中田[[関所]]改方制度の変遷」『文書館紀要』(15)、埼玉県立文書館、2002年、 118-88頁。
入本英太郎・橋本直子　『葛飾区史跡散歩』　学生社、1993年、88-90頁。
大島延次郎『改訂版　関所』、株式会社新人物往来社、1995年。
東京都歴史教育会編　『新版　東京都の歴史散歩　上』　山川出版社、1988年、260-261頁。
本間清利「第5章　交通と流通」、『新編　埼玉県史　通史編３　近世Ⅰ』、埼玉県、1988年、591-704頁。
街と暮らし社編　『江戸・東京　歴史の散歩道６』　街と暮らし社、2003年、110-111頁。
山本鉱太郎　『新編　旧水戸街道繁盛記』　崙書房出版、2008年、99-114頁。
渡辺和敏「第三部　江戸幕府の関所政策」『近世交通制度の研究』吉川弘文館、1991年。

関連項目

日本の交通
江戸川
渡船
房川渡中田[[関所]]
小仏関所
新郷川俣[[関所]]

位置情報

北緯35度46分50秒 東経139度53分22秒

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