金英柱

金英柱の生涯と影響

金英柱（1920年9月21日生まれ、2021年12月14日没）は、北朝鮮の政治家であり、朝鮮民主主義人民共和国の創設者である金日成の実弟、金正日の叔父です。彼は北朝鮮の政務院副総理、国家副主席、朝鮮労働党政治局員、書記局書記などの役職を歴任し、その政治的影響力を持ちました。

幼少期から青年期

金英柱は、金亨稷と康盤石の夫妻の三男として誕生し、当初は南満州で育ちました。彼は成長と共に関東軍の通訳として活動し、その後兄の金日成が関与した抗日パルチザン活動に関わることとなります。日本の敗戦後、朝鮮半島が二分され、兄が北朝鮮を建国する中で、金英柱も政治の中心に戻っていきます。1949年に朝鮮労働党に入党し、ソビエト連邦に留学した彼は、政治官僚としての経歴を積むこととなります。

政治的地位と権力争い

金英柱は党内で急速に上昇し、1966年には政治局員候補秘書に就任するなど、金日成の後継者候補として位置づけられます。しかし、彼の地位は次第に金正日との対立により揺らぎます。1970年代初頭、金英柱は南北対話の責任者を務め、政治的な役割を果たしたものの、同時に金正日の後継権獲得への挑戦によって影響力が薄れ始めます。

1974年、金正日の後継者としての地位が決定的になると、金英柱は「反党分子」として追及を受け、実質的な権限を剥奪され、隠遁生活に入ることになります。

復権と影響の再燃

1993年、金英柱は18年ぶりに公式の場に戻り、党の政治局員としての任命を受けます。彼の復権は当時の北朝鮮の政治情勢を示しており、金日成の死後にも存在感を示すことになります。特に、金日成の死因に関する疑惑や政治的風潮は、彼と金正日の関係に影を落とす要素となります。

晩年の動向

2003年には再び代議員として選出されるも、以降は公式の場に現れなくなり、高齢により消息が途絶えます。2011年には金正日の弔問に姿を見せましたが、その後は長らく静かな生活を送ることになります。2014年に再度健在が確認されたものの、2019年には選挙の推薦者リストに名前が見当たらなくなるなど、政治活動からは完全に退いた形となります。

金英柱は2021年12月14日に逝去しました。彼は金日成の兄弟の中で最も長生きした人物であり、北朝鮮の歴史において重要な役割を果たした政治家の一人です。彼の生涯は、北朝鮮の政治体系の形成と権力闘争の複雑さを映し出しています。

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