金角・銀角

金角・銀角の紹介

金角・銀角（きんかく・ぎんかく）は、中国の古典文学『西遊記』に登場する兄弟の魔王であり、しばしば金角大王（きんかくだいおう）と銀角大王（ぎんかくだいおう）として知られています。金角が兄で、銀角が弟として描かれており、彼らは平頂山蓮華洞（へいちょうざんれんげどう）を住処としています。2人はそれぞれ精細鬼（せいさいき）や伶俐虫（れいりちゅう）、巴山虎（はざんこ）、倚海龍（いかいりゅう）などの部下を従えており、その手下たちと共にさまざまな悪行を繰り広げます。

日本では、金角と銀角はその名の通り角の生えた姿でよく描かれていますが、彼らの背後には狐の姿に変化できる一族が存在し、実際には狐狸精の一種であることが示唆されています。さらに、彼らの本来的な姿は、太上老君の金炉と銀炉の番をしている童子であり、彼らは老君から5つの法宝を盗み出して下界に降り、妖怪としての生活を送っていました。この5つの法宝とは、羊脂玉浄瓶（ようしぎょくじょうびょう）、七星剣（しちせいけん）、芭蕉扇（ばしょうせん）、幌金縄（こうきんじょう）、そして特異な能力を持つ紫金紅葫蘆（しきんこうころ）です。特に紫金紅葫蘆は、呼びかけに応じた者を吸い込んで溶かす力があるため、非常に危険なアイテムとなっています。琥珀浄瓶も同様に、呼びかけに応じた者を吸い込む力を持っています。

エピソード

三蔵一行が平頂山にたどり着いた際、悟空は仲間の猪八戒に偵察を命じますが、残念ながら八戒は銀角に捕らえられてしまいます。猪八戒が戻ってこないため、悟空は仕方なく仲間を探しながら進むことにしました。しかし、山の頂上で待ち構えていた銀角によって、悟空も3つの山で封じられ、さらに三蔵法師と悟浄までも捕らえられます。

悟空は山の神々を招集し、山を移動させてもらうことで脱出を果たします。しかし、仲間を救うためには金角と銀角との戦いが必須となります。悟空は法宝を奪い返すべく、金角・銀角に挑みます。戦いの末に、悟空は銀角を紫金紅葫蘆に吸い込み、金角を浄瓶の中に囚えました。

最終的に、悟空は太上老君に5つの法宝を帰還させることになります。すると、紅葫蘆と浄瓶から出てきたのは、実は試練の一環として三蔵一行の前に現れた童子たちでした。彼らは悪役を演じることで、悟空たちに試練を与える役割を果たしていたのです。この一連の出来事は、物語全体の中で重要な教訓を提供するものとなっています。

このように、金角と銀角の物語は単なる悪役に留まらず、彼らの役割や背景には深い意味が込められています。彼らの存在は、『西遊記』の冒険における重要な一部であり、現代においてもその影響を色濃く残しています。

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