金躰寺

金躰寺（こんたいじ）

金躰寺は、奈良県奈良市十輪院町に位置する浄土宗の寺院です。道昭山南光院と号し、本尊には阿弥陀如来立像が安置されています。

歴史

金躰寺は、元興寺の道昭法師によって開かれたと伝えられています。道昭は唐からの帰国後、この寺に隠棲したとされていますが、創建時期については明確な記録が残っていません。その後、天正10年（1579年）に奥州岩城出身の良誉清範上人が入山し、法相宗から浄土宗へと改宗しました。この改宗をもって金躰寺の中興としています。山号は開基である道昭の名にちなみ、院号は元興寺の別院であった南光坊の名を受け継いでいます。

建造物

本堂

本堂は、5間四方の広さに広縁を巡らせた構造で、正面中央には向拝が設けられています。寄棟造・本瓦葺の屋根を持ち、棟札によると寛永14年（1637年）に行誉上人によって再建されたとされています。本堂は奈良県の指定文化財となっており、その内部は、手前を外陣、奥中央を内陣、両脇前方を脇陣、後方を位牌の間とする、典型的な浄土宗本堂の形式を踏襲しています。外陣周りの広縁は元々吹き放しであり、内部の部屋境には中敷居や建具で仕切った痕跡が見られます。これらの特徴は、内陣の周囲に結界を設ける江戸初期の浄土宗本堂の特徴をよく示しています。

本堂には、本尊である阿弥陀如来立像が安置されており、右脇壇には善導大師・法然上人の両祖師像、および開山である良誉上人の坐像が安置されています。左脇壇には、清凉寺式の釈迦如来立像と十大弟子が祀られています。境内にはかつて地蔵堂と釈迦堂があり、そちらの本尊であった地蔵菩薩半跏像は、現在は本堂に安置されています。

墓地

境内には、桃山時代から江戸初期にかけての古い墓碑が残されています。これらの墓碑は、当時の人々の信仰や文化を伝える貴重な資料となっています。

客殿

客殿は、慶安年間頃に建てられたと推定されています。客殿の建築様式は、当時の武家屋敷や寺院建築の特徴をよく表しています。

庫裏

庫裏は、1982年（昭和57年）に新築されました。庫裏は、寺院の台所や住居として使用される建物です。

宝物

金躰寺には、以下の宝物が所蔵されています。

仏涅槃図
板絵塔婆 - 計9枚、元和6年（1620年）や寛永3年（1626年）など
過去帳 - 慶長2年（1597年）の奥書

これらの宝物は、金躰寺の歴史と文化を物語る貴重な資料となっています。

所在地

奈良県奈良市十輪院町

周辺情報

金躰寺は、奈良町の中心部に位置しており、周辺には多くの寺社や文化施設があります。金躰寺を訪れた際には、ぜひ周辺の散策も楽しんでみてください。

参考文献

奈良市史編集審議会編『奈良市史 社寺編』、吉川弘文館、1985
* 現地設置案内板（奈良市教育委員会）

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