金鍾泌

金鍾泌（キム・ジョンピル）について

金鍾泌（1926年1月7日 - 2018年6月23日）は、韓国の著名な政治家であり、韓国の歴史における重要な人物の一人です。忠清南道扶余郡に生まれ、金海金氏の出身であり、キリスト教徒です。彼は日本名を金村俊英とし、号は雲庭（ウンジョン）です。「JP」という略称で知られ、金泳三（YS）、金大中（DJ）とともに「三金時代」と呼ばれる政治的な時代を築きました。

初期の経歴と軍事クーデター

金鍾泌は、1961年に朴正煕と共に5・16軍事クーデターを主導し、このクーデターにより朴正煕政権が樹立されました。その後、彼は初代中央情報部（KCIA）長として政権の中核を担い、国務総理（首相）としても要職を歴任しました。しかし、1970年代に入ると、彼のキャリアは一時の停滞期を迎え、家宅捜索や政治的な圧力を受けることになります。

特に1979年の朴正煕大統領の暗殺以降は、議会に戻りたいと望んだものの、新たなクーデターを起こした全斗煥政権によって「権力型不正蓄財者第1号」と認定され、厳しい弾圧を受けました。1984年にはアメリカに渡り、1986年に帰国後は新民主共和党を結成しました。

政治的な役割と実績

金鍾泌は1990年に発足した民主自由党の代表委員に就任し、民主派との権力闘争の中で非主流派に追いやられ、1995年には自由民主連合を設立しました。彼は1997年の大統領選挙で金大中の当選を支援し、1998年から2000年まで再び国務総理を務めました。彼の政治のスタンスは、主義を前面に出さず、日本との関係を重視した調整型であり、1960年代から90年代の動乱の中で韓国政治を構築する一端を担いました。国会議員としても9期にわたり活躍しました。

日韓関係と統一教会

金鍾泌は日本に対して特異な親近感を持ちながらも、同時に厳しい批判の声を上げることもあり、彼のスタンスは「親日」とは一言では言い切れないものでした。日韓議員連盟の役員として活動し、日韓基本条約の締結に尽力しましたが、彼の発言や見解は時に物議を醸し、対日請求権放棄については後年においても公式に意見を述べています。

統一教会との関わりについて、1978年の報告書では、彼が政治的意図をもって統一教会を利用したとされています。また、1962年には竹島（独島）に関連する会談で、日本側に独島問題を巡る解決策として「独島の爆破」を提案するなど、波乱に満ちた外交交渉をも展開しました。

最後の時期と評価

金鍾泌は長い政治活動の末、2004年の総選挙で落選し、政界を引退しました。しかし、彼は2007年に李明博支持を表明し、再び政治に関与しました。様々な栄誉に加え、青山学院大学から名誉博士号を授与されるなど、彼の貢献は評価されています。

2015年には元慰安婦に関する発言をし、従来の韓国の政治家には珍しい発言をする一方で、彼の人生は多くの矛盾を孕んでいました。金鍾泌は常に権力の中枢に身を置いていましたが、「永遠のナンバー2」として位置づけられ、その政治的な影響力はそれぞれの政権において消えることはありませんでした。彼の死後も、韓国政治における影響や役割についての議論は続いています。

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