釜林事件

釜林事件の概要と影響

釜林事件（ふりんじけん、プリムじけん）は、1981年に大韓民国の釜山で勃発した重要な社会問題であり、多くの大学生や社会活動家が不当に拘留され、尋問を受けた事件です。この事件では22名の被告がいて、そのうち19名が1年から7年の懲役判決を受けましたが、その背後にある事情には、拷問や自白の強要という深刻な問題が存在しました。本事件の名称は、当時ソウルで同様の背景を持つ学林事件があったことに由来し、「釜山学林事件」を示唆しています。

事件の背景

1980年、韓国では光州事件が起こり、学生運動が活発化しました。全斗煥政権の独裁体制による反動として、政府は「赤色分子」と称し、共産主義者や社会活動家を厳しく取り締まろうとしました。それに伴い、1981年の9月、釜山の警察は釜山読書連合会のメンバーを逮捕するため、逮捕令状もなく22人を不法に拘束しました。拘束の理由は、有害な書籍の回覧や不法集会の主催などで、国家保安法や戒厳法違反とされました。

この事件当時、税務弁護士として活動していた盧武鉉（後の第16代大統領）は、金光一や文在寅と共に学生たちの無料弁護を行いました。彼らは、警察による拷問で無理に自白させられたことや、証拠が捏造されていたことを法廷で証明しようとしましたが、判決は厳しく、19名が有罪となりました。この苦しい運命は、盧武鉉の人生に大きな影響を与え、彼はその後政治活動に身を投じることになりました。

名誉回復の動き

釜林事件に関する再審の動きは、1999年に始まりました。この年、11名の被告人が国家保安法違反を除くその他の容疑について無罪を求めて再審を申請し、無罪が宣告されました。その後、2012年にはさらに5名の被告人が釜山地方裁判所に再審請求を提出しました。

2014年2月13日、33年ぶりにこの事件に対する再審が実施され、5人の被告人に無罪判決が下されました。再審の結果、かつての法廷が被告人たちの自白を真実と信じていたことが誤りであったことが明らかになり、実は彼らは、長時間の拘禁と拷問の中でやむを得ず自白したに過ぎなかったことが確認されました。また、その際に、被告人たちが国家保安法に違反した事実は認められず、国家の安全や自由、民主主義の秩序に対する危害もなかったと言及されました。

映画『弁護人』と文化的影響

この事件を題材にした2013年の映画『弁護人』は、社会的関心を呼ぶきっかけとなりました。主演のソン・ガンホは盧武鉉をモデルにしたキャラクターを演じ、多くの観客を動員しました。韓国国内では1100万人以上の観客を集め、この映画は社会運動の意義や正義の重要性を考えさせる作品として評価されています。

釜林事件は、韓国の歴史の中で重要な出来事であり、民主化運動の一環として捉えられるべきものであり、未来における人権の重要性を改めて我々に教えていると言えるでしょう。

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