学林事件

学林事件

学林事件は1981年に韓国で発生した重要な歴史的事件であり、学生運動を抑圧するために新たに権力を握った全斗煥政権によって引き起こされました。この事件は、反国家とみなされた学生運動団体に対する激しい弾圧であり、その後の再審によってこの弾圧が捏造によるものであったことが明らかになりました。

この事件の名前の由来は、全民学連（全国民主学生連盟）が最初の集会を開いた「学林茶房」にあります。警察は、学生運動の活発化を「森が茂る」様子になぞらえ、大規模な摘発を行いました。事件は、当時の学生運動の抑圧を象徴するものとなり、多くの学生たちが強制的に拘禁され、拷問や虐待の対象となったのです。

特に、後に保健福祉部長官となる李泰馥を含む24人から25人が、強制連行されました。彼らは不法に拘禁された上、弁護士や家族との接触を遮られ、過酷な取り調べに耐えなければなりませんでした。水や電気を使った拷問、さらには女性に対する強姦の脅迫といった残虐行為が行われ、自白を強いられました。これらの事実は法廷で明らかになりましたが、裁判所はこれを無視し、国家保安法違反として有罪判決を下し、長期間の刑罰を科しました。

事件によって強制的に拘禁された中でも、元工員の労働運動家ユ・ドンウは特に過酷な拷問の影響を受け、健康を害しました。彼は一審で執行猶予を得て釈放されることとなりました。また、当時2審の陪席裁判官であった黄祐呂は後に社会的な地位を得ましたが、被害者に対して遺憾の意を表しました。

再審

学林事件はその後、2009年に真実・和解のための過去史整理委員会により再調査されました。委員会は、事件が長期間の不法拘禁や拷問を通じて操作され、警察や裁判所が不法行為を無視していたことを指摘しました。委員会は被害者に対する国家の謝罪を求め、再審を促す決定を下しました。

この結果、再審請求が行われ、事件は再び法廷で審理されることとなりました。2010年12月、ソウル高等法院刑事5部が無罪の判決を下し、「司法府の誤りによって被告人が苦難に遭ったことに対して謝罪を申し上げ」、この判決が被害者にとっての慰めとなることを願いました。この判決は、その後2012年6月に大法院でも確認され、学林事件は再審を通じて完結を迎えました。

このように、学林事件は韓国の歴史における重大な人権侵害の事例であり、その弾圧と捏造が明らかになったことは、権力による不当な行為がどのようにして行われたかを示す警鐘となります。

もう一度検索