光州事件

光州事件の詳細

光州事件（こうしゅうじけん、クァンジュじけん）は、1980年5月18日から27日にかけて韓国の光州市で発生した、軍事政権に対する市民の民主化運動の激しい衝突を指します。この事件は、韓国建国以降、済州島四・三事件や保導連盟事件に続く市民に対する軍の弾圧の一環として、数多くの犠牲者を出しました。市民たちは民主化を求めて立ち上がりましたが、最終的には軍の圧力に屈し、目的を果たせませんでした。光州事件は、その後1987年の「6・29民主化宣言」につながり、韓国における民主化の起点となりました。

事件の経過と背景

光州事件の前史として、1979年の朴正熙大統領の暗殺が重要な転換点です。この事件の後、韓国では「ソウルの春」と呼ばれる民主化の機運が高まりましたが、同時に軍部内での権力争いが激化。全斗煥陸軍少将が実権を確立することになり、彼が指示した戒厳令は、市民によるデモを厳しく制圧しました。

1980年5月17日、戒厳令が全国に拡大され、多くの政治指導者が逮捕されると、光州市では翌日から市民による抗議運動が始まりました。学生から始まったデモは、次第に一般市民も加わり、参加者は約20万人に達しました。市民は戒厳軍の暴力に対抗し、バリケードを築き、武器を手に取りました。デモは激化し、軍との衝突は続きました。

軍による鎮圧と市民の抵抗

事件が進行する中、軍は市民に対して厳しい鎮圧行動を行い、暴力がエスカレートしました。戒厳軍は武力で応じると、取り締まりの過程で無防備な市民を狙った銃撃を行いました。最終的に、5月27日には都市全体が軍に制圧され、多くの死傷者が出ました。公式の発表では144人の死亡が確認されましたが、実際の数はそれを大きく上回るとされています。

反発の広がりとその後の影響

事件後、政府は光州事件を「北朝鮮の扇動による暴動」として取り扱い、事件を隠蔽しようとしました。しかし、市民やメディアの努力により、事件の実態が徐々に明らかになり、韓国社会における反政府的な意識が高まりました。この事件は、後の民主化運動の基盤となり、特に1987年の6月民主抗争へとつながりました。

また、光州事件は韓国の近代史において大きな出来事として位置づけられ、民主主義の実現へとつながる重要な分岐点となりました。加えて、事件を扱った映画や文学作品が数多く制作され、今もなお多くの人々に語り継がれています。特に『タクシー運転手 約束は海を越えて』などの作品は、多くの人に感動を与え、光州事件を再評価するきっかけとなっています。

現在の光州市と民主化の象徴

光州事件は韓国において「五・一八民主化運動」として記憶されており、市内には関連する記念施設や公園が整備されています。市民の活動は、現在も続いており、事件の記憶を風化させないための努力が続けられています。民主主義を取り戻そうとする運動の象徴として、光州は歴史的にも重要な場所となり、これからも韓国の未来を見守り続ける場所であり続けることでしょう。

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