釜石鵜住居復興スタジアム

釜石鵜住居復興スタジアムは、岩手県釜石市にある球技専用スタジアムです。2019年のラグビーワールドカップの会場の一つとして使用され、その建設には、東日本大[[震災]]からの復興という大きな意味が込められています。

建設の背景

2011年3月11日に発生した東日本大[[震災]]は、釜石市鵜住居地区に甚大な被害をもたらしました。特に、鵜住居川河口付近にあった釜石市立鵜住居小学校と釜石市立釜石東中学校は、津波によって校舎が全壊・浸水するという被害を受けました。

震災からの復興計画において、釜石市は「将来の希望を創る個性的な取組の推進」を主要施策の一つに掲げ、スポーツイベントの開催に着目しました。かつて「北の鉄人」と称された新日鐵釜石（現・釜石シーウェイブス）が拠点を置いていたラグビーの盛んな地域であったことから、鵜住居小学校と釜石東中学校の跡地に、防災機能を備えたスポーツ公園を整備し、その中にラグビーワールドカップの試合を誘致することを目指しました。

2014年 7月4日には、釜石市長が開催都市への立候補を表明。他の14都市が既存のスタジアムを活用するなか、釜石市は唯一新設会場として名乗りを上げました。当初は仮設設備を含めて約16,187人収容のスタジアムとする計画でしたが、ラグビーワールドカップ終了後も、Jリーグのエキシビションマッチや、FIFA女子ワールドカップでの活用も視野に入れ、将来的なスポーツ振興の拠点となることを目指しました。

2018年 8月19日には、スタジアムの竣工記念試合として、釜石シーウェイブスとヤマハ発動機ジュビロの交流戦が開催され、震災後初のラグビーの試合が行われました。また、日本選手権で共に7連覇を達成した新日鐵釜石と神戸製鋼のOB戦も行われました。

2019年7月27日には、仮設スタンド完成後のテストマッチとして、日本代表対フィジー代表の試合が行われ、13,135人の観衆を集めました。

施設概要

スタジアムは、津波の浸水被害を教訓に、高台に建設されました。公園内には、天然芝のグラウンドと、防災機能を強化した設備が備えられています。また、津波対策として、鵜住居川河口には水門が、北側の片岸海岸には防潮堤が新たに設けられました。

スタジアムは「最大限コンパクトなスタジアム」をコンセプトに、更衣室、用具室、医務室、ドーピングコントロール室、インタビュールームなどの設備を備えています。当初は陸上競技用トラックと体育館の併設も検討されていましたが、最終的には球技専用のスタジアムとして整備されました。

メイングラウンドには、6,014人収容のスタンドが設けられており、固定スタンドには、2017年に発生した山火事で焼けた杉の木を使った木製ベンチが採用されています。また、可動席には、旧国立競技場や他のスタジアムから寄贈された座席が使用され、「絆シート」と呼ばれています。メインスタンド中央部には、鳥の羽根や船の帆をイメージした膜構造の屋根が設置されています。

スタンドは、フランスのGLイベンツ社が開発した鉄骨製ユニットを活用し、低コストで建設されました。芝生は、フランスのナチュラルグラス社が開発した、人工繊維を混ぜたハイブリッド芝「AIRFIBR」が採用されています。

建設費用は当初約27億円と見込まれていましたが、ラグビーワールドカップリミテッドからの要望により設計が見直され、最終的には約39億円となりました。座席数は、常設席が6,130席、仮設席が9,890席の合計16,020席となりました。

イベント

ラグビーワールドカップ2019

ラグビーワールドカップ2019では、メイングラウンドに10,010席分の仮設スタンドが設けられ、合計16,024席となりました。また、メディアセンターや照明設備も仮設で設置されました。2019年9月25日には、フィジー対ウルグアイの試合が開催され、14,025人の観客が訪れました。しかし、同年10月13日に開催予定だったナミビア対カナダの試合は、台風19号の影響により中止となりました。

釜石よいさ

2023年からは、釜石市の夏祭りである釜石よいさが、9月に開催され、会場が市中心部から釜石鵜住居復興スタジアムに変更されました。

交通アクセス

- 鉄道: 三陸鉄道リアス線鵜住居駅が最寄り駅です。JR釜石線、三陸鉄道リアス線釜石駅からバスも利用可能です。
- 道路: 三陸沿岸道路（釜石山田道路）釜石北インターチェンジが最寄りのインターチェンジです。
- 試合開催日: 試合開催日には、いわて花巻空港、盛岡駅、新花巻駅、釜石駅などから臨時直行バスが運行される他、釜石市内や大槌町などに臨時駐車場が設けられ、そこからシャトルバスが運行されます。

まとめ

釜石鵜住居復興スタジアムは、震災からの復興を象徴するスタジアムであり、ラグビーワールドカップの開催を通して、その存在を世界に示しました。今後も、スポーツ振興や地域活性化の拠点として、多くの人々に利用されることが期待されます。

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