釜蓋城

釜蓋城は、長崎県雲仙市千々石町に位置する標高154メートルの山城です。築城は1569年（永禄12年）で、有馬氏の家臣である千々石淡路守直員（千々石ミゲルの実父）が城主を務めました。千々石氏は、この地を治める有力な国人領主であり、釜蓋城はその拠点として重要な役割を果たしていました。

1577年（天正5年）には、有馬氏と対立していた佐賀の龍造寺隆信が千々石に侵攻し、激しい戦いが繰り広げられました。当時、城を守っていた千々石大和守直員（淡路守の養子）は、寡兵をもって龍造寺軍に果敢に抵抗しましたが、有馬氏からの援軍が遅れたため、衆寡敵せず、家臣とともに壮絶な最期を遂げました。この戦いによって、釜蓋城は落城し、千々石氏は一時的に龍造寺氏の支配下に入りました。

現在、釜蓋城跡は公園として整備されており、市民の憩いの場となっています。城跡には、天守を模した展望台が建てられ、千々石湾や千々石の街並みを一望することができます。また、城山の麓には、千々石大和守直員の遺言により建立された天満宮が残っており、当時の面影を偲ぶことができます。さらに、城山を下ると、日露戦争の英雄である橘中佐を祀った橘神社があり、歴史散策を楽しむことができます。

釜蓋城跡は、2000年（平成12年）3月6日に雲仙市の史跡に指定されました。毎年春には、千々石氏とその家臣たちの霊を慰めるため、「観応火宴」という火祭りが行われます。武者行列が松明を灯して町内を練り歩く様子は、幻想的で迫力満点です。

釜蓋城は、戦国時代の激戦地であり、多くの人々の命が失われた場所ですが、現在は平和な公園として、その歴史を伝えています。展望台から望む美しい景色は、訪れる人々の心を癒し、歴史への想いを深めさせてくれます。また、周辺には天満宮や橘神社など、見どころも多く、一日を通して楽しむことができます。

釜蓋城跡の見どころ

展望台からの眺望: 千々石湾や千々石の街並みを一望できます。夕暮れ時には、美しい夕焼けを眺めることができます。
天満宮: 千々石大和守直員の遺言により建立された天満宮。当時の面影を偲ぶことができます。
橘神社: 日露戦争の英雄である橘中佐を祀った神社。歴史を感じることができます。
観応火宴: 毎年春に行われる火祭り。武者行列が松明を灯して町内を練り歩きます。

アクセス

島鉄バス「千々石」バス停から徒歩約20分
長崎自動車道諫早ICから車で約40分

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