釣り銭

釣り銭とは

釣り銭（つりせん）とは、商品を購入する際に、支払った金額が商品の価格よりも大きい場合に、その差額として受け取るお金のことです。一般的に「お釣り（おつり）」とも呼ばれます。

概要

釣り銭は、支払われた金額のうち、商品の対価として必要でない余剰分を客に返す行為、およびそれによって支払われるお金そのものを指します。特に、高額の紙幣で支払った際に、より少額の紙幣や硬貨の組み合わせで差額が支払われるのが一般的です。

釣り銭として受け取るお金は、多くの場合、それまで持っていたお金よりも少額の紙幣や硬貨になりがちです。これにより、財布の中の小銭が増え、財布が膨らんで持ち運びの邪魔になることがあります。そのため、両替をしたり、他の買い物で小額の貨幣が必要な際に積極的に使われることがあります。

かつて、秤量貨幣のように額面が設定されておらず、貴金属そのものの価値で通用していた時代には、貨幣を切り分けて釣り銭として使用することもありました。しかし、現代の貨幣は額面で価値が決まるため、切り分けてしまうと価値が損なわれてしまいます。そのため、少額の貨幣を組み合わせて支払う様式に変わりました。

釣り銭の計算

釣り銭の計算は、支払った金額から商品価格を差し引くことで求められます。この計算は、昔は暗算やそろばんなどの計算器具を使って行われていましたが、現在では自動販売機やレジスターなどの自動装置によって行われることが一般的です。

釣り銭の計算方法は減算が基本ですが、足し算で計算する人もいます。例えば、3,800円の商品に対し5,000円札を支払った場合、店員は3,800円に100円硬貨2枚と1,000円札1枚を「足し算」して、5,000円との差額を計算します。この方法は、特に欧米の商店で多く見られます。また、引き算が苦手な人がこの方法を取ることもあります。

釣り銭を予測して、受け取りやすいように支払い金額を調整することもよく行われます。例えば、920円の商品を購入する際に、1,000円札だけで支払うと80円のお釣りになりますが、1,020円を支払えば100円のお釣りで済み、受け取る硬貨の枚数を減らすことができます。

また、小銭を減らすために、お釣りで5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨を貰えるように支払う人もいます。例えば、680円の買い物の際に、1,180円を支払って500円硬貨1枚のお釣りをもらったり、730円を支払って50円硬貨1枚のお釣りをもらうなどがあります。

逆に、5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨を2枚以上持ちたくない場合は、440円の買い物をして、40円がないときは550円を支払うことで、50円玉を消費することができます。しかし、このような支払いは店員を困惑させることもあるため、注意が必要です。

釣り銭の準備

店舗を運営する上で、釣り銭を事前に準備しておく必要があります。この釣り銭用に準備されたお金を「釣銭準備金」といいます。

釣銭準備金が少ないと、お客様に迷惑をかけることになり、好ましくありません。しかし、多すぎると資金繰りに悪影響を与え、防犯上の問題も生じます。そのため、多くの企業や店舗で釣銭準備金は悩みの種となっています。中には、釣り銭の準備や提供を専門とする事業も存在します。

また、釣り銭の計算や受け渡す金額を間違えることで、売り上げと現金の出入りが一致しないという問題も発生します。コンビニエンスストアでは、1店舗あたり月額3,000円ほどの誤差が発生すると言われています。このため、店舗側は電子マネーを導入する理由の一つとしています。

店舗によっては、少額貨幣の釣銭準備金に限度があり、商品の売り買いを続けるうちに不足することもあります。この場合、銀行などの両替商で調達しますが、それでも間に合わない場合は、より少額の貨幣の組み合わせで釣り銭を支払ったり、お客様に小銭での支払いを求めることがあります。

特に駄菓子屋など、少額商品を扱う店では、高額紙幣での支払いを嫌がることもあります。

電子マネー等の普及

釣り銭として受け取る小銭が溜まりすぎるという煩わしさから、電子マネーなど、釣り銭を必要としないシステムも普及しています。プリペイドカードのように、カードに記録された金額から商品の対価を差し引き、残額をデータとして記録する方式も一般的です。

自動販売機における対応

自動販売機や券売機などでも、釣り銭を計算して払い戻す機能が付いているものが多くあります。ただし、機種によっては、技術的な問題で釣り銭を払い戻す機能がないものや、一定の硬貨しか受け入れられないもの、商品の価格を上回る現金を投入したことを感知するだけで、釣り銭を返す機能がないものもあります。

自動販売機にも、釣り銭は事前に準備しておく必要があります。硬貨や紙幣の額面別に機械に収納されており、店員が投入する場所を間違えると、正しい金額の釣り銭が出てこなくなることがあります。また、お客様が投入した現金を自動的に分別し、次の人の釣り銭に使えるようにしている機械もあります。

自動販売機では、釣り銭の返却口にガムや粘着テープを仕掛け、他人の釣り銭を盗む犯罪も発生しています。そのため、返却口に異物が詰まっていないか、返却された釣り銭の額が正しいかを確認することが重要です。

関連項目

カルトン - 釣り銭の受け渡しなどに使われるトレー。
両替機 - 釣り銭が支払いシステム上で返しにくい場合に、お客様に小銭を準備してもらうために使われる。
* 運賃箱 - 乗り物の均一運賃路線で、自動両替の際に運賃を差し引き、釣り銭だけを返すもの。

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