鈴木伸夫

青森放送のレジェンド：故・鈴木伸夫アナウンサーの生涯

鈴木伸夫（すずき のぶお、1948年-2017年2月16日）は、青森放送（RAB）において長年にわたり活躍したアナウンサーです。愛称は「伸さん」。北海道札幌市生まれで、幼少期は転勤族として各地を転々とし、東北学院大学法学部卒業後に1970年に青森放送に入社しました。

アナウンサーとしてだけでなく、放送部、東京支社勤務、放送部長などを歴任。その後、再びアナウンサーに復帰するなど、多様な役割を担いました。

映画への並々ならぬ情熱

鈴木伸夫アナウンサーの最大の特徴は、並外れた映画愛でした。青森県を舞台とした映画『八甲田山』や『海峡』を題材に、ラジオ番組『ナイト・ブリッジ・フォー・ユー/シネマテーク005』で、映画本編の音声を用いたサウンドドラマを制作。地方局の番組としては画期的で、視覚障がい者にも楽しめる優れたコンテンツとして高く評価されました。

さらに、青森市で名作映画の上映を推進する活動にも尽力。「青森シネマラソン」というオールナイト上映イベントを開催し、トークショーを交えながら、青森では観ることのできない優れた作品を積極的に紹介しました。キネマ旬報青森友の会（旧青森映画友の会）の小柴氏と共に、青森における映画文化の発展に大きく貢献しました。

彼の情熱は、青森で映画に関わる仕事に就いた多くの若者たちに影響を与えました。上京した教え子たちには、「情報誌ぴあを買って名画座に行きなさい」「映画研究会に入りなさい」など、的確なアドバイスを送っていました。橋本忍氏をはじめとする映画業界の人脈を活かし、教え子たちの就職を積極的に支援するなど、後進の育成にも力を注ぎました。現場で働く教え子の活躍を、同僚や妻に自慢するほど、彼らの成功を心から喜んでいたそうです。

多彩な番組とメディアでの活躍

青森放送での担当番組は多岐に渡り、テレビでは『ズームイン!!朝!』（初代青森担当キャスター）、『RABニュースレーダー』、『24時間テレビ 愛は地球を救う』（初代青森担当レポーター）など、数多くの番組に出演。ラジオでは『映画音楽専科』、『シネマテーク005』、『伸さんのシネマテーク9』など、映画に特化した番組も担当しました。

1985年には『ズームイン朝!』で東京のスタジオからメインMCを務める予定でしたが、田中角栄元首相の急病報道のため、虎ノ門病院前からリポートを担当しました。

人となり

鈴木アナウンサーは、2人の娘を持つ優しい父親でもありました。娘の名前は、映画監督の橋本忍氏に命名してもらうほど、映画への愛情は深く、ビデオやディスクのコレクターとしても知られています。青森放送の同僚である伊奈かっぺい氏とは親しい間柄で、青森オフセット印刷のホームページに連載していた映画エッセイ『伸さんのシネマトーク』は、後に一冊の本としてまとめられました（非売品）。

惜しまれつつ逝去

2017年2月16日、70歳で逝去。現場復帰を目指し療養中でしたが、周囲の惜しみない弔意の中、生涯を閉じました。青森放送の歴史に、そして青森の映画文化に、大きな足跡を残した人物として、その功績は長く語り継がれることでしょう。彼の情熱と人柄は、多くの人々の記憶に刻まれています。

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