鈴木昌道

鈴木 昌道

鈴木 昌道（すずき まさみち（しょうどう）、1935年 - 2016年）は、栃木県に生まれた日本の多才な芸術家・設計者です。造園家、ランドスケープアーキテクトとして数々の景観創造に貢献したほか、書家、墨象家としても活動し、その幅広い視野が独自の景観思想の基盤となりました。

経歴と活動

1960年に千葉大学園芸学部を卒業後、東京工業大学工学部建築学科の清家清研究室にて学び、翌1961年には東京オリンピック大会組織委員会に参加しました。1964年からは建築家芦原義信氏の建築設計事務所に入り、芦原氏の建築作品における外部空間設計を支えました。その後独立し、1974年に鈴木昌道研究所を設立。故郷である栃木県のまちづくりアドバイザーも務め、地域振興にも尽力しました。

教育者としても活躍し、1970年から日本工業大学建築学科、1982年から千葉大学造園学科で非常勤講師を務めたほか、1993年には東京芸術大学美術学部でも教鞭をとりました。後進の育成にも熱心に取り組み、多くの造園家やランドスケープアーキテクトに影響を与えました。

国際的な舞台でも存在感を示しました。1989年にはハーバード大学で講演を行い、1992年と1993年にはフランスで開催された国際現代庭園フェスティバルに招かれ講演や出展を行いました。特に1993年の招待出展作品「危機の中のイマジネーション『列島』」は注目を集めました。1997年にはアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された第34回IFLA（国際造園家会議）世界大会に招かれ、基調講演を行うなど、日本のランドスケープデザインを世界に発信しました。

また、芸術活動にも深く関わり、2001年には東京芸大美術館の「デザインの風」展に招待出展、2002年には銀座三越で「鈴木昌道『ランドスケープと水墨』展」を開催し、造園と自身の芸術世界との融合を探求しました。

受賞と評価

鈴木氏はその功績に対し、数々の賞を受賞しています。1981年には「庭園の構成原理の研究に基づく一連の造園作品」により日本造園学会賞を受賞し、造園分野における学術的・実践的な貢献が高く評価されました。その他、建設省営繕設計コンクール建設大臣賞、1988年には清瀬金山緑地公園で都市公園コンクール建設事務次官賞を受賞。1994年にはコモンシティ星田ヴェルデコート・ヴェルデヒルズで大阪府の大阪施設緑化賞優秀賞、2006年には日本公園緑地協会創立70周年記念表彰として第28回日本公園緑地協会北村賞を受賞するなど、公共空間や集合住宅のランドスケープにおいても顕著な成果を残しました。

主な作品

鈴木氏が手掛けた作品は多岐にわたります。代表的なものとしては、

資生堂本社ビル（東京都、1972年）
マツヤサロン杉並会館庭園・中庭（東京都、1974年、1981年）
芝増上寺境内造園および室内造園（東京都、1976年）
朝霞市民会館ゆめぱれす造園（埼玉県、1977年）
日本工業大学造園（埼玉県、1978年）
清瀬市立市民センター体育館周辺造園と運動公園（東京都、1979年）
蕨公園（埼玉県、1980年）
史跡観音山古墳整備（群馬県、1980年）
那須温泉旅館山楽・庭園等（栃木県、1982年）
土門拳記念館植栽計画（秋田県、1983年）
アクトシティ浜松駅北口駅前地下広場修景計画とモニュメント（静岡県、1984年）
清瀬金山緑地公園（東京都、1986年、受賞作品）
シェラトン・グランデ・トウキョウベイホテル&タワーズ庭園空間等（千葉県、1988年）
古河歴史博物館 庭園（茨城県、1989年、受賞作品）
矢板市長峰公園（栃木県、1990年～1991年）
センシティ 千葉新町再開発地区ランドスケープ（1990年～1993年）
会津芦ノ牧温泉丸峰観光ホテル庭園、露天風呂（福島県、1992年）
コモンシティ星田せせらぎ遊歩道、ヴェルデコート・ヴェルデヒルズ（大阪府、1992年、1994年受賞）
茨城県庁舎ランドスケープ（茨城県、1999年完成）

などがあり、企業、ホテル、公共施設、公園、集合住宅、個人邸など、その活動範囲の広さが伺えます。景観設計にとどまらず、彫刻やモニュメント、室内造園、照明計画なども手掛け、総合的な環境デザインを追求しました。

著書

『都市と緑と景観構成』（槇書店、1981年）
『建築家のための造園の知識』（鹿島出版会、1983年）
『現代空間の設計 - 庭と建築との融合』（誠文堂新光社、1979年）
『ランドスケープデザイン 〈風土・建築・造園〉の構成原理』（彰国社、1978年）
『造園の空間と構成―環境/建築とのかかわりあい』（誠文堂新光社、1973年）

これらの著書からは、建築、環境、芸術といった多角的な視点から景観を捉える鈴木氏の思想を垣間見ることができます。鈴木昌道氏は、日本のランドスケープデザインの発展に貢献し、芸術性と実用性を兼ね備えた多くの作品を残しました。

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