鈴木明良

鈴木明良は、1909年（明治42年）2月8日に茨城県結城郡江川村（現在の結城市にあたる地域）で生を受けました。1985年（昭和60年）9月6日にその生涯を閉じています。

若き頃の経歴としては、1928年に茨城県立下妻中学校を卒業しています。実業界においては、岩佐鉄工所の営業部長を務めたのをはじめ、朝日海運の代表取締役社長、そして明商株式会社の社長など、複数の会社の要職を歴任しました。

戦後の混乱期にあたる1946年4月、第22回衆議院議員総選挙に旧茨城県選挙区から立候補し、見事に初当選を果たします。その後も国会議員としての活動を続け、第24回総選挙まで連続して当選。衆議院議員を通算で3期務めました。この間、日本進歩党の情報部長や、民主党、民主自由党の総務といった党内の要職を経験したほか、衆議院においては内閣委員会の委員長を務めるなど、政界において一定の存在感を示しました。

しかし、1952年の第25回衆議院議員総選挙で落選し、議席を失います。さらにこの選挙に関連する選挙違反の容疑で逮捕される事態となりました。

政界を離れた後、鈴木明良の人生は大きく転換します。1960年には詐欺の容疑で再び逮捕されましたが、この時は起訴猶予となっています。その後、1964年には破産宣告を受けるなど、経済的な苦境に立たされました。

1968年には、3,500万円に上る手形詐欺事件を引き起こします。この事件で1969年に逮捕され、裁判を経て、1973年には最高裁判所で懲役2年の実刑判決が確定しました。

刑が確定した後も、病気を理由に刑執行が何度も停止され、一時的に刑務所の外に出ることがありました。しかし、その間にも交番で少額の金をだまし取る「寸借詐欺」を働くなど、犯罪行為をやめることはありませんでした。

鈴木明良は、戦後の復興期から高度成長期にかけての実業家、政治家としての一面と、その後の詐欺師としての顔を持つ人物であり、特に世間を騒がせた「M資金事件」に関連する人物としてその名が挙がることが多い存在でした。その波乱に満ちた生涯は、1985年9月6日、収監されていた八王子医療刑務所内で閉じられました。

彼の政治家としての足跡は『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』などに記録されており、また落選後の活動、特に「M資金事件」との関連については、安田雅企氏の著作『追跡・M資金 : 東京湾金塊引揚げ事件』などでも触れられています。

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