鈴木満 (詩人)

鈴木 満

鈴木 満（すずき みつる）は、日本の詩人。1926年（大正15年）3月3日に東京市深川区、現在の東京都江東区に生まれた。2017年（平成29年）5月29日に逝去。詩人としての活動に加え、地方の文化振興にも尽力した人物である。

来歴

鈴木満は、三人兄弟の長男として生を受けた。妹と弟がそれぞれ一人ずついた。幼少期を東京で過ごしたが、太平洋戦争の戦火が激しくなる中、現在の茨城県稲敷市へと疎開した。この戦争は彼の人生に深い傷跡を残すこととなる。1945年（昭和20年）3月10日に発生した東京大空襲により、彼の両親と弟が命を落としたのである。この悲劇は、後の彼の作品にも影響を与えた可能性が考えられる。

戦後の混乱期を経て、鈴木満は学業を続け、1948年（昭和23年）に中央大学経済学部を卒業した。大学卒業後、彼は茨城県庁に奉職し、県職員として長年にわたり勤務した。公務員としての職務を全うする傍ら、彼は詩作への情熱を持ち続けた。

茨城県において文芸活動が盛んになる中で、1969年（昭和44年）には茨城文芸家協会（現在の茨城文芸協会）が創設された。鈴木満はこの協会の設立に関わり、初代理事の一人として名を連ねた。協会の運営に積極的に携わり、地域の文芸振興に貢献した。さらに、1991年（平成3年）からは同協会の副会長に就任し、より中心的な立場で協会の活動を支えた。

詩人としての才能も高く評価された。1981年（昭和56年）には、彼の詩集『吉野』が認められ、茨城文学賞を受賞した。さらに、1987年（昭和62年）には詩集『翅（つばさ）』により、権威ある第20回日本詩人クラブ賞を受賞した。これは、彼の詩作が全国的なレベルで評価されたことを示す重要な出来事であった。また、1997年（平成9年）に刊行された詩集『月山（がっさん）』は、後に茨城新聞社賞を受賞するなど、晩年まで創作活動を続け、その作品は高く評価され続けた。

長年にわたる文学及び公務員としての功績が認められ、1997年（平成9年）5月には勲四等瑞宝章を受勲するという栄誉に浴した。これは、彼の社会への貢献が国家によって認められた証である。また、2006年（平成18年）には日本詩人クラブの総会において、永年会員としてその長年の活動と貢献が特別に表彰された。詩壇における彼の存在感と功績は、晩年まで衰えることがなかった。

鈴木満は、激動の時代を生き抜き、戦争による悲劇を乗り越えながら、詩人として、そして地方の文化振興の担い手として多大な功績を残した。彼の詩は、深い人間洞察と抒情性に満ちており、多くの読者に感銘を与え続けている。故郷への愛着、戦争の記憶、そして人生への深い思索が、彼の作品の根底には流れている。

著書

鈴木満の主な著書には以下のものがある。

『声が聴きたい』 思潮社、1969年
『吉野 鈴木満詩集』 国文社、1981年
『翅 鈴木満詩集』 国文社、1986年
『水脈 詩歌集』 栗山薫 著、編 国文社、1996年
『月山 鈴木満詩集』 国文社、1997年
『季語巡礼』 かいつぶり社、2003年
『鈴木満詩集』 土曜美術社出版販売〈新・日本現代詩文庫〉、2006年12月。ISBN 978-4812015933。

関連情報

中央大学の人物一覧

（参照情報に基づき執筆）

もう一度検索