鈴木藤三郎

鈴木藤三郎：日本の製糖業の礎を築いた革新者

鈴木藤三郎（1855年12月26日 - 1913年9月4日）は、日本の発明家、実業家、そして政治家として、明治時代に多岐にわたる分野で活躍しました。彼は特に製糖業における功績が顕著であり、「日本製糖業の父」として広く知られています。

生い立ちと起業

鈴木藤三郎は、遠江国周智郡森町村（現在の静岡県周智郡森町）で生まれました。幼名は才助といい、太田姓でしたが、5歳の時に菓子商・鈴木伊三郎の養子となりました。13歳から家業の菓子行商を手伝い、19歳で家産を譲り受けて戸主となります。その後、一攫千金を夢見て売茶業に転じますが、市価の下落により菓子商に戻ります。22歳で二宮尊徳の教えに基づく報徳社に帰依しました。

製糖業への貢献

1883年（明治16年）、28歳の時に、当時2社が独占していた氷砂糖の製法を独自に考案しました。この成功を皮切りに、彼は数々の発明を行い、「機械の豊田佐吉」と並び、「発明王」「特許王」と呼ばれるようになります。鈴木製糖所、日本精製糖株式会社、台湾製糖株式会社（現 大日本明治製糖）を設立し、食品工業の機械化を推進しました。

社会活動と政治家としての側面

鈴木藤三郎は、福川泉吾と共に周智農林学校（現在の静岡県立遠江総合高等学校）を創設するなど、教育分野にも貢献しました。1903年と1904年には衆議院議員に当選し、政治家としても活動しました。

晩年と死

1907年に日本醤油醸造を設立しましたが、サッカリンとホルマリンの使用が発覚し、1909年に失脚、全財産を失いました。晩年は釧路で水産工場、東京で澱粉製造所、静岡県佐野で農園を経営しましたが、1913年に胃癌のため死去しました。墓所は森町随松寺にあります。彼の農場は不二農園と改称され、岩下清周に引き継がれ、後に不二聖心女子学院中学校・高等学校などが設置されました。

鈴木藤三郎は、日本の産業革命期において、製糖業の発展に大きく貢献しただけでなく、教育や政治の分野でもその才能を発揮しました。彼の革新的な精神と事業家としての手腕は、今日の日本の産業界にも大きな影響を与え続けています。

参考文献

牧野輝智著『現代発明家伝』帝国発明協会、1911年
朝日新聞社編『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞社、1994年
衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年
『20世紀日本人名事典』

外部リンク

* 鈴木藤三郎と地域の産業社会 - 静岡県森町

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