鈴鏡

鈴鏡（れいきょう）とは

鈴鏡は、古墳時代後期（5世紀 - 6世紀）に製作・使用された特殊な銅鏡です。鏡の本体の周縁に鈴が取り付けられている点が最大の特徴で、日本独自の仿製鏡として知られています。

鈴の数と特徴

鈴の数は3個から10個と様々で、その数に応じて四鈴鏡、五鈴鏡、六鈴鏡などと呼ばれます。特に五鈴鏡と六鈴鏡が多く見られ、九鈴鏡は確認されていません。鈴の大きさは鏡の面積に比例する傾向があります。

鏡の外区は素縁であることが多く、鋸歯文や櫛歯文が挟まれています。内区の文様は、硬化した獣形文が一般的です。鈴の中には小石などの玉が入っており、振ると音が鳴る仕掛けになっています。

出土地域と用途

鈴鏡は、岩手県から福岡県、宮崎県にかけての広範囲な後期古墳から出土しており、特に関東地方・中部地方に多く分布しています。群馬県邑楽郡大泉町で出土した人物埴輪には、五鈴鏡を腰に帯びて腰掛けた袈裟姿の巫女が表現されており、鈴鏡が祭具として用いられた可能性を示唆しています。

鈴鏡からわかること

鈴鏡は、単なる装飾品としてだけでなく、当時の祭祀や信仰において重要な役割を果たしていたと考えられています。鈴の音には、邪気を祓い、神霊を呼び寄せる力があると信じられていたのかもしれません。また、地域によって鈴鏡の形状や文様に違いが見られることから、当時の文化交流や地域性を知る上でも貴重な資料となります。

参考資料

『角川第二版日本史辞典』p1004、高柳光寿・竹内理三：編、角川書店、1966年
『国史大辞典』第十四巻p694、吉川弘文館、1993年
『岩波日本史辞典』p1198、監修：永原慶二、岩波書店、1999年

外部リンク

古墳時代の鈴の音（こふんじだいのすずのおと） - 京都国立博物館

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