鉄道産業労働組合

鉄道産業労働組合：JR東日本の小さな闘士

1987年の国鉄分割民営化。この激動期に、JR東日本仙台地域において、鉄道産業労働組合（略称：鉄産労）は誕生しました。国鉄動力車労働組合（動労）の労使協調路線に反発した組合員たちが、全東北鉄道産業労働組合として旗揚げ。のちに現在の名称に改称しました。

鉄産労は、民営化に反対した労働組合として知られています。国労、全動労、動労千葉などと共に、組合弾圧の標的となり、激しい抵抗を強いられました。その象徴的な出来事が、1987年3月10日に発生した13名組合員への配置転換です。運転士である組合員たちは、仙台駅営業係などの兼務を命じられ、実質的な解雇に等しい措置でした。しかし、この不当労働行為は最高裁で組合員側の勝訴となり、組合員の職を守り抜きました。

現在、JR東日本の主要労働組合が労使協調路線を歩む中、鉄産労はJR東日本と労働協約を結んでいません。その姿勢は、まさに「闘う組合」と言えるでしょう。しかしながら、仙台地域に限定された活動範囲と、わずか数名という小規模な組織規模ゆえ、その影響力は限定的です。

鉄産労という名称は、他の組合にも存在します。かつて、日本鉄道産業労働組合総連合（鉄産総連、現JR連合）傘下には、複数の「鉄産労」がありました。これらは、国鉄労働組合（国労）から主流派が離脱して設立された組合です。後に、鉄産総連はJR連合となり、多くの鉄産労は合併により名称を変えましたが、貨物鉄産労など一部は現在も残っています。しかし、これらは本項で解説する仙台の鉄産労とは全く別の組合です。

2021年3月期のJR東日本有価証券報告書によると、鉄産労の組合員数はわずか4名。その小さな規模は、日本の労働運動における挑戦と、大きな組織に属さない組合員の意思の強さを象徴しています。全国労働組合連絡協議会（全労協）に加盟する鉄産労は、規模は小さくても、独自の活動理念を貫く、希有な存在と言えるでしょう。

鉄産労の歴史は、国鉄民営化という激動の時代における労働者の抵抗の物語であり、規模の大小に関わらず、労働運動における多様な存在意義を示す一例です。この小さな組合の歩みは、日本の労働運動史に独特の足跡を残していると言えるでしょう。 仙台という地域に根付き、少数精鋭で活動を続けるその姿は、現代社会における労働組合のあり方について、様々な示唆を与えてくれます。彼らが今後もどのような活動を展開していくのか、注目に値します。

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