鉄道連隊演習線

鉄道連隊演習線とは

鉄道連隊演習線は、旧日本陸軍の鉄道連隊が演習用に千葉県内に敷設した鉄道路線です。この路線は、部隊の訓練と技術伝承を目的として建設され、戦時においては人員や物資の輸送にも利用されました。本記事では、鉄道連隊演習線の歴史、具体的な路線、そしてその遺構について詳細に解説します。

歴史的背景

明治維新後、帝国陸軍は千葉県に騎兵連隊や砲兵学校を設置しました。これらの施設は、広大な演習場と共に、鉄道隊の誘致にも繋がりました。明治時代後期には、私鉄の国有化と同時に、都内の陸軍鉄道大隊が鉄道連隊に昇格。千葉県内に拠点を置くことになりました。鉄道連隊は、部隊の鉄道設備運搬と保管、訓練のために、軽便[[鉄道]]の軌道を構築しました。

鉄道連隊の演習線構築

鉄道連隊は、本拠地である千葉と分駐地である津田沼の間に習志野線を、さらに支線として千葉と四街道の間に下志津線を建設しました。大正時代には、野戦鉄道の急速構築訓練のため、下志津線から八街を経由して三里塚までを結ぶ大演習線も敷設されました。昭和初期には、津田沼の鉄道第二連隊が、津田沼と松戸の間に松戸線を建設しました。これらの演習線は、訓練だけでなく、沿線の軍事施設間の輸送にも利用されました。

第二次世界大戦中、鉄道隊は大陸に出征し、演習線の運用は縮小。敗戦と共に、鉄道隊と演習線は廃止されました。

軽便[[鉄道]]の採用

演習線の主力は、軽便[[鉄道]]でした。これは、狭軌以上の既存路線終端からの急速な路線構築と運用を考慮した結果です。ドイツ製の600mm軌間の双合機関車とその軌道が採用されました。鉄道連隊は、軽便[[鉄道]]の輸送効率限界を180kmとし、4個大隊での構築と運用を想定していました。

路線詳細

習志野線

津田沼と習志野原演習場間、そして千葉と習志野原演習場間を結ぶ路線です。1911年に完成しました。支線として、旧軌道、兵器廠支線、下志津線、花島迂回線、千葉周回線がありました。沿線には、交通兵旅団司令部、鉄道連隊、兵器廠、気球連隊、歩兵学校、戦車学校など多くの陸軍施設がありました。

路線: 千葉 - 津田沼 (16.7km)
担当: 鉄道連隊 (千葉)、鉄道連隊分駐第三大隊 (津田沼)
支線: 旧・三山駅 - 高津駅迂回線、旧・三山駅 - 薬園台廠舎、作草部分岐 - 兵器廠千葉支廠、作草部分岐 - 四街道、花島迂回線、千葉周回線
沿線施設: 交通兵旅団司令部、鉄道連隊、兵器廠、気球連隊、歩兵学校、戦車学校、高射学校、六方野原演習場、三角原演習場、高津廠舎、習志野原演習場、騎兵旅団、鉄道連隊第三大隊

下志津線

習志野線の支線として、四街道の砲兵学校と演習場向けに開設された路線です。1911年に完成。一部区間は後に廃止されました。この路線の延長上に、大演習線が敷設されました。

路線: 千葉 - 四街道 (7.3km)
担当: 鉄道連隊、鉄道連隊分駐第三大隊
沿線施設: 気球連隊、歩兵学校、六方野原演習場、下志津飛行場、砲兵連隊、野戦砲兵学校、下志津原演習場

大演習線

下志津線の延長として、四街道から八街を経由して三里塚までを結ぶ、全長45km以上の臨時路線です。1913年の鉄道連隊大演習時に敷設され、翌年に廃止されました。

路線: 四街道 - 三里塚 (45km以上)
担当: 鉄道連隊、鉄道連隊分駐第三大隊
沿線施設: 下志津飛行場、八街飛行場、鉄道連隊第三大隊

松戸線

工兵学校と八柱演習場間、そして津田沼と八柱演習場間を結ぶ路線です。1932年に完成し、1945年に廃止。日常の物資運搬と兵員輸送に使用されました。

路線: 津田沼 - 松戸 (28.5km)
担当: 鉄道第二連隊 (津田沼)、工兵学校 (松戸)
支線: 胡録台分岐 - 中の兵駅、中の兵駅 - 浅間台、中の兵駅 - 矢切
沿線施設: 鉄道第二連隊、騎兵学校、薬園台廠舎、習志野原演習場、無線送信所、藤ヶ谷飛行場、松戸飛行場、八柱演習場、胡録台作業場、工兵学校、江戸川作業場

跡地の利用

松戸線

松戸線の大部分は、戦後、新京成電鉄新京成線の線路に転用されました。これは、京成電鉄がGHQに使用許可を得て、新京成電鉄として敷設を引き継いだ結果です。その際、資材の一部が西武[[鉄道]]に引き渡された経緯もあります。

習志野線

習志野線の一部は、戦後、陸上自衛隊の第101建設隊の演習路線として利用されました。現在では、遊歩道（ハミングロード）や道路に転用されています。また、千葉経済大学内には、旧鉄道連隊材料廠の煉瓦建築が保存されています。

ハミングロード

習志野市内に整備された遊歩道で、旧習志野線の軌道跡を利用しています。これは、地元住民が桜を植える計画から始まり、市が国から払い下げを受け整備したものです。名称は、1976年に一般公募により決定されました。

まとめ

鉄道連隊演習線は、旧日本陸軍の訓練と輸送を支えた重要なインフラでした。その遺構は、現在も様々な形で利用されており、その歴史を今に伝えています。これらの路線は、単なる軍事施設ではなく、地域の発展にも貢献した存在でした。

参考資料

伊藤東作『幻の鉄道部隊 消えた第一〇一建設隊』（かや書房、1991年）
鉄道連隊用軽便[[鉄道]]敷設に関する件（陸軍省大日記乙輯 昭和2年） アジア歴史資料センター レファレンスコード：C01006091100

関連項目

軽便[[鉄道]]
九七式軽貨車
千葉県の軍事遺跡一覧
軍事国道特1号
* トミカヒーロー レスキューファイアー

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