鉈屋町

鉈屋町の概要

鉈屋町（なたやちょう）は、岩手県盛岡市に位置する町名であり、住居表示が実施されています。郵便番号は020-0827です。本町は、盛岡市の南西部にあり、南側には北上川が流れています。

歴史の背景

この町の名称は、江戸時代にまで遡ります。京都の裕福な商人である鉈屋長清がこの地に訪れ、「釶屋山菩提院」という寺を設立したことに由来しています。この寺は後に内加賀野へ移転しましたが、そこから鉈屋町という名称が広まりました。文化9年（1812年）には、城下の一町として確立され、現在の「鉈屋町」が誕生しました。

鉈屋町の西側には水主丁があり、文化年間には藩命により用水桶が町内に設けられ、地域の水で生活できる環境が整えられました。また、当時水主が北上川の舟運に関与していたことが記録されています。特に新山舟橋において、洪水の際には水主が橋を管理し、重要な役割を果たしていました。さらに、藩主が飼っていた鶴のために川魚を捕る仕事もあったと言われています。

最終的に1874年（明治7年）には明治橋が架けられ、水主丁の役割は終わりを迎えました。1890年（明治23年）には盛岡駅が開業し、町の構造は徐々に変化し、居住空間として発展しました。その名残として、現在も「盛岡町家」と呼ばれる伝統的な「平入り」の町並みが残っています。

また、鉈屋町は江戸時代から水が豊富な地域であったため、醸造業が盛んに行われていました。大慈清水や青龍水などの湧水は、盛岡三清水として知られ、近年では「平成の名水百選」にも選出されています。

地名としての変遷

1889年（明治22年）、市制が施行された際、盛岡市として新たなスタートを切りました。そして1940年（昭和20年）には町名が正式に定着しました。1963年（昭和38年）には周辺の町名が変更され、一部が大慈寺町や松尾町、南大通二丁目に編入されました。その後、1983年（昭和58年）には東中野の字名から一部が編入され、現在の町域が成立しました。

現在の鉈屋町

近年の世帯数と人口については2025年（令和7年）9月1日現在の情報が注目されています。鉈屋町には鉄道駅は存在しませんが、最寄り駅は仙北町駅です。また、町内には「もりおか町家物語館」や「大慈清水」、「もりおか町家三喜亭」（三原葉子の生家）などの重要な施設が存在し、観光地としても人気があります。これらの施設は地域の歴史や文化を感じることができる貴重なスポットです。今後の鉈屋町の発展にも大いに期待が寄せられています。

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