銀林浩

銀林浩

銀林浩（ぎんばやし こう、1927年8月9日 - 2020年8月18日）は、日本の著名な数学者であり、数学教育運動家として知られています。明治大学の名誉教授であり、日本の数学教育に大きな足跡を残しました。

生涯と業績

銀林浩は東京で生まれ、旧制第一高等学校を経て東京大学理学部数学科を卒業しました。彼の数学教育への情熱は、遠山啓とともに考案した「水道方式」に結実しました。この指導体系は、四則計算の概念をわかりやすく教えるための革新的なアプローチとして、多くの教育現場で採用されました。

1962年には、日大数学科事件を機に日本大学講師を退職しました。しかし、その後も研究活動を続け、ファン・デル・ヴェルデンの現代代数学の名訳は、彼の学術的な深さを示すものとして高く評価されています。この翻訳書は、2018年に第1巻のみ復刊され、再び注目を集めました。

数学教育への貢献

銀林浩は、数学教育の普及と改善に尽力しました。彼の著書や共著は、数学の基礎概念から応用まで幅広くカバーし、多くの学生や教育者に影響を与えました。

著書には、『初等整数論入門』、『集合の数学』、『ベクトルから固有値問題へ 線型代数学序説』などがあります。これらの書籍は、数学の学習における理解を深めるための貴重な資料として、長年にわたり読み継がれています。

また、遠山啓との共著である『水道方式による計算体系』は、算数教育における画期的なアプローチとして、広く知られています。その他にも、『現代数学への道』など、森毅との共著もあります。

銀林浩は、単に知識を伝えるだけでなく、子どもたちが数学を学ぶ上でどこでつまずくのかを深く理解し、それに対する解決策を提供することを目指しました。彼の教育に対する情熱と深い洞察は、多くの教育関係者に感銘を与え、日本の数学教育の発展に大きく貢献しました。

著書一覧（一部）

『初等整数論入門』
『集合の数学』
『ベクトルから固有値問題へ 線型代数学序説』
『有限世界の数学』
『子どもはどこでつまずくか 数学教育を考えなおす』
『数の科学 水道方式の基礎』
『量の世界 構造主義的分析』
『算数嫌い 教師の責任・親の責任』
『わたくしの数学教育批判』

翻訳書一覧（一部）

『現代代数学』
『数の発達心理学』
『幾何学入門』
『量の発達心理学』

参考文献

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『銀林浩』 - コトバンク
* 銀林浩教授履歴・業績 (銀林浩教授退任記念号) 人文科学論集（明治大学経営学部）

銀林浩の業績は、数学教育の分野において不朽のものとして、今後も語り継がれていくことでしょう。

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