銚子川

奇跡の清流、銚子川

三重県紀北町を流れる銚子川は、大台ケ原を源流とする全長17kmの二級河川です。年間降水量の多い大台ケ原を源流とすること、そして急峻な地形と流域の人口が少ないことから、驚くほどの透明度を誇り、「奇跡の川」「奇跡の清流」とも呼ばれています。

銚子川の恵み

水深3mの川底が見えるほどの透明度は、銚子川の大きな特徴です。その透明度を支える要因の一つが、伏流水の存在です。地下水と地表水が互いに影響しあい、自浄作用を高めることで、清らかな水質が保たれています。実際に、銚子川でしか発見されていない新種のヨコエビ、チョウシガワメリタヨコエビが生息しています。

また、銚子川は美しい渓谷美も育んでいます。源流部には「清五郎滝」、上流部には花崗岩が浸食された渓谷、支流の又口川沿いには巨岩や奇岩が林立する魚飛渓など、変化に富んだ景観が楽しめます。河口付近では、海水と川の水が混ざり合う「ゆらゆら帯」が見られ、神秘的な光景が広がります。

豊かな生態系

銚子川には、アユ、アマゴ、アユカケ、ルリヨシノボリ、ゴクラクハゼなど、清流を代表する魚種やエビが生息しています。また、チチブ、ヌマチチブ、カワムツ、オイカワ、ウグイ、ウナギ、シマヨシノボリなど、多種多様な魚たちが生息しており、豊かな生態系を育んでいます。

地域との関わり

流域では林業が盛んであり、山菜も豊富です。特にイタドリを使った山菜料理は、地域独特の食文化として発展してきました。また、この地域には優秀な石工が多く、熊野古道の「馬越峠」の石畳など、優れた石造物が多く残されています。その石工技術は、現代の建設業者にも受け継がれています。

歴史

1916年から1925年にかけて、四日市製紙が大台ケ原で森林伐採を行い、銚子川沿いに森林鉄道を敷設しました。同時期に発電所の建設も計画されましたが、自家用の発電所建設に留まりました。その後、尾鷲電気によって発電所が建設され、1923年に発電事業が開始されました。

銚子川へのアクセス

銚子川の下流・河口部へは、JR紀勢本線相賀駅が最寄り駅です。道の駅海山では電動自転車の貸し出しも行われており、銚子川の上流部を巡ることができます。

ドキュメンタリー

銚子川の魅力は、NHKスペシャル「見えないものが見える川〜奇跡の清流 銚子川〜」（2018年11月11日放送）でも紹介されました。

銚子川は、その美しい景観と豊かな自然を通して、私たちに多くの恵みを与えてくれます。ぜひ一度、その清流に触れてみてください。

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