銛

銛（もり）とは

銛は、大型の魚やクジラなどの漁で使用される槍の一種であり、特に大型水生動物の捕獲に適した道具です。銛の先端には、獲物の肉に食い込むためのかえし部分が設けられています。このかえしは、釣り針のように設計されており、一度刺さると外れにくくなっています。また、銛の中間には綱が attachedされており、獲物を捕えた後も舟と繋がった状態で、逃げられないよう工夫されています。銛は漁具としてだけでなく、武器としても歴史的に利用されてきたため、槍や矛との明確な区別が難しい場合もあります。

銛の歴史と発展

銛の歴史は古く、ギリシアの歴史家ポリビウスは彼の著書「歴史」の中で、先端にとげのついた銛をカジキ漁に利用したことを記録しています。これが銛の初期の利用法の一例です。

捕鯨における銛の進化

捕鯨においては、約1000年にわたり、「トゥー・フルー・ハープーン」という先端部分に2つのかえしがある銛が広く使用されてきました。北極地方では、さらに進化した「トグリング・ハープーン」が使われており、この銛は突き刺さると回転し、獲物にしっかりと食い込むため、捕獲が容易になります。19世紀初頭には、先端に1つのかえしを持つ「ワン・フルー・ハープーン」が登場し、漁の成功率が向上しました。

19世紀中ごろには、「ルイス・テンプル」と呼ばれる鉄製のトグリング・ハープーンが登場し、これが捕鯨における主要な道具として普及します。ルイス・テンプルの特性は、鯨の体からの脱落を防ぎつつ、効果的に捕鯨を行えることでした。

現代における銛の使用

1860年代に、ノルウェー人のスヴェン・フォインによって捕鯨砲が発明され、銛を射出するための新しい技術が誕生しました。この捕鯨砲の導入と蒸気動力付きボートの開発により、近代的な商業捕鯨の時代が始まりました。現代の捕鯨船には、特にナガスクジラなどの迅速で強力な鯨を捕らえるために、捕鯨砲が装備されています。ナガスクジラは死ぬと海中に沈むため、従来の手持ち式銛では捕獲が難しいのです。

今日の捕鯨用銛は、捕鯨砲から射出される巨大な槍と太いロープで構成されています。鯨体に貫入する場合、銛の先端は平らに設計されており、摩擦を高めて水面やクジラの皮層での跳ね返りを防ぎます。銛が体内に入ると、仕掛けた火薬が爆発してスパイクが開き、銛が鯨の体内にしっかりと固定されます。この仕組みにより、捕鯨船はモーターでロープを引いて、鯨を船に引き寄せることが可能になります。

銛とやすの違い

「やす」と銛の違いについては明確ではありませんが、やすは銛と比べて小型であることが一般的に述べられています。やすの先端も金属製で、釣り針のようなかえしがついていますが、先端は2つか3つに分かれており、手に持って突き刺すか、投げて使用されます。これに対して銛は、やや大型であり、より重い水生動物を狙った道具という位置付けがなされています。

まとめ

銛は水生動物の漁や捕鯨において非常に重要な道具であり、その歴史的背景や進化も含めて、捕鯨の方法や漁業の発展に大きな影響を与えてきました。この道具の発展を追うことは、漁業や環境保護に関する理解を深める手助けとなることでしょう。

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