銭瓶峠 (大分県)

銭瓶峠（ぜにがめとうげ）

銭瓶峠は大分県別府市と由布市にまたがる地点に位置する峠で、地元に密接に関連した歴史を持っています。大分県道51号線に沿って、特に高崎山の中腹に存在し、交通の要衝として古くから利用されてきました。

峠の概要

峠付近には「銭瓶石」と呼ばれる石が存在し、また道標も設置されています。この道標には、各方向への引き継ぎが示されており、北は別府に、南は湯布院、東は府内道、そして西は同尻へと続いています。興味深いのは、この峠の名前の由来がはっきりとしていないことです。伝説によれば、かつて泥棒が盗んだ金を混入した瓶を隠した場所という話もあります。

歴史的背景

銭瓶峠は、悪路だった海岸線から内陸を通る交通道として利用され、明治時代初期に海岸沿いの道路が開通するまでは主要なルートでした。中世の道標は古い時代に設置されたと考えられており、交通の便が良いことからか、豊後国の拠点としての役割を果たしていました。特に湯布院から大宰府に続く「ゆふいんみち」は重要な通路だったとされています。また、貝原益軒の『豊国紀行』には、高崎山の城跡について記載があり、これも峠の意義を示す史料となっています。

この地域はかつて戦国時代や南北朝時代に多くの戦闘場になり、特に高崎山城がその背後にそびえていました。現代でも、銭瓶峠は重要な交通路として利用され、県道51号別府挾間線と由布市道との交差点として機能しています。

銭瓶石

江戸時代の文献に出てくる「銭瓶石」は、別府の高崎山の南麓にあり、独特の音を奏でる石として知られています。通常「かんかん石」として有名ですが、銭瓶石は特に固い岩から作られており、叩くと金属的な響きを発します。この石の存在は、数世代にわたって地域の人々に記憶され、時には境界の目印としても使用されてきました。

銭瓶石をめぐる争い

この石は、江戸時代中期に府内藩と赤松村の農民との間で深刻な境界争いを引き起こすこととなります。1762年、幕府の巡見使の通過に伴い、道の整備を巡る競争が激化し、特に赤松村側は府内藩に対抗するために土手を築いたり、小屋を設置するなどしました。最終的には争いがエスカレートし、武器を用いた激しい衝突が起きることになりました。その結果、双方の農民が処罰を受け、事件は幕府の裁判に発展しました。このように、銭瓶石は単なる地名の一部ではなく、地域の歴史に深く根ざした象徴とも言えます。

現在の銭瓶峠

今でも銭瓶峠は多くの人々に親しまれ、交通の要所としての役割を果たし続けています。特にトレッキングや観光の拠点としても人気があり、自然の中での散策や歴史的な意味を学ぶ場ともなっています。周辺には高崎山や登山口、さらには競艇の施設などもあり、多様なアクティビティが楽しめます。これからも銭瓶峠は地域の重要な場所として、その価値を保ち続けていくことでしょう。

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