錐体細胞 (神経細胞)

錐体細胞についての詳細

錐体細胞（すいたいさいぼう）は、大脳皮質および海馬に存在する重要な興奮性神経細胞です。この細胞は、特にカハールによって発見され、神経科学の研究において重要な役割を持っています。特長的な外観として、細胞体が長い錐形（円錐形）をしており、名前の由来となっています。

錐体細胞の形態は、皮質や海馬の両方で、錐形の頂点が脳の表面に向かうという共通点があります。その頂点からは樹状突起が伸びており、頂端突起（apical dendrite）として知られるこれらの突起は、大脳皮質の第I層において特に長く広がります。これにより、他の神経細胞との接触が増え、広範な神経ネットワークを形成します。

さらに、錐体細胞は円錐の裾野部分から基底樹状突起（basal dendrite）を持ち、周囲の神経細胞との結合を強化しています。また、錐体細胞の逆側には軸索が伸び、これはダイレクトに神経パルスを他の領域や脳の深部へと伝える役割を果たします。脳の白質を横切りながら、ミエリン鞘をまとったこれらの軸索は、速やかな情報伝達を可能にしています。

樹状突起には多くの棘（きょく）が存在し、他のニューロンとのシナプス結合を形成しています。錐体細胞自体は神経伝達物質の一つ、グルタミン酸を放出することで、隣接する細胞を脱分極させ、興奮性の信号を伝えます。このように、錐体細胞は神経系において非常に重要な役割を持つ細胞なのです。

大脳皮質の神経細胞の約80%はこの錐体細胞に該当し、ヒトの場合、皮質1 mm³あたりには約1万個、ラットでは約10万個が存在するとされています。特に海馬のアンモン角（CA1およびCA3領域）は、錐体細胞の主要な集積地でもあり、学習や記憶に関与していることが知られています。

ヒトの錐体細胞は通常、細胞体が約10µmから50µmの大きさですが、運動野に存在するベッツ細胞と呼ばれる一部の錐体細胞は特に大きく、細胞体が100µmに達することもあります。これらの細胞の大きさや構造は、脳の特定の機能や領域に応じて異なります。

錐体細胞についてのさらなる情報は、脳科学辞典やウィキペディアなどで入手できるので、興味がある方はぜひ確認してみてください。

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