錦織俊政

錦織俊政：鎌倉時代末期の武将、その生涯と悲劇

錦織俊政（にしごり としまさ）は、鎌倉時代末期に活躍した武将です。その出自は、百済系の渡来氏族である錦織氏に遡ります。錦織氏は、佐竹氏一族の山本義経を祖とするとも伝えられています。

錦織氏のルーツ

『吾妻鏡』には、錦織判官代という人物が登場します。彼は、660年に滅亡した百済から河内に逃れて定住し、判官代を世襲した渡来人の末裔とされています。俊政の先祖にあたるこの錦織判官代は、弓術と相撲に長けた戦士であり、承久の乱では官兵が敗北した際に院から逃亡したと記録されています。幕府は佐野太郎・次郎入道・三郎入道に捕獲を命じましたが、捕獲できず、佐野の郎従を加えてようやく六波羅で捕獲されたという逸話も残っています。

また、俊政はもともと三河蒲郡郡の出身であるという説もあります。蒲郡という地名は、もともと蒲形と西郡を合わせたものとされ、このうち西郡が錦織の転訛である可能性も指摘されています。河内錦部郡百済郷には、錦織氏が祀ったとされる錦織神社があります。この神社は古くは「水郡天王宮」「牛頭天王」「爾吾里宮天王」とも呼ばれ、素盞鳴命、品陀別命、菅原道真の三神を祀っていました。現在の社殿は、俊政が祖廟として建立したものと伝えられています。錦織氏は鎌倉時代には、錦織郡の判官代として栄華を誇りました。

後醍醐天皇の挙兵と俊政の最期

院の判官代を務めていた俊政は、元徳3年/元弘元年（1331年）に後醍醐天皇が笠置で挙兵した際、これに加わりました。元弘の乱において、俊政は六波羅方の包囲軍7万と戦いますが、同年9月28日、奇襲を受けて行宮が陥落。その際、俊政は息子の義右と共に自刃し、壮絶な最期を遂げました。

後世の顕彰

その忠義と勇猛さを称えられ、昭和3年（1928年）には従四位が贈られました。

まとめ

錦織俊政は、鎌倉時代末期の動乱期に、その武勇と忠義を貫いた武将です。百済にルーツを持つ錦織氏の血を引く彼は、後醍醐天皇の笠置挙兵に身を投じ、壮絶な最期を迎えました。その悲劇的な生涯は、後世に語り継がれることでしょう。錦織神社は、彼の祖廟として、今もその歴史を静かに物語っています。彼の名は、日本の歴史に深く刻まれているのです。

もう一度検索