錦織神社

錦織神社は、大阪府富田林市宮甲田町に位置する神社で、かつては郷社として地域の人々に親しまれてきました。地元では「にしこり」「にしごおり」「にしごり」などと多様な呼び方をされています。

河内国の三水分社

錦織神社は、建水分神社（千早赤阪村）、美具久留御魂神社（富田林市）とともに「河内国の三水分社」として知られています。この三社は、古くから地域の人々の生活を支える水源を守る神として崇敬されてきました。

祭神

主祭神は以下の通りです。

建速素戔嗚命（たけはやすさのおのみこと）
品陀別命（ほんだわけのみこと）
菅原道真（すがわらのみちざね）

歴史

この地域は、古代には「錦部（にしごり）部」と呼ばれ、織物の技術を持つ人々が百済から渡来し、定住した場所とされています。神社の創建年代は不明ですが、1935年（昭和10年）の本殿修理の際に平安時代中期の瓦が発見されており、その頃には既に存在していたと考えられています。当初は水郡（にごり）神社と呼ばれ、錦部部の氏神として祀られていました。

平安時代には、神宮寺として金輪寺が建立され、神仏習合の形態をとっていました。しかし、明治時代の神仏分離、廃仏毀釈によって金輪寺は廃寺となりました。1872年（明治5年）には郷社に列せられ、1907年（明治40年）に神饌幣帛料供進社に指定された際に、現在の錦織神社という名称に改称されました。

境内

川西小学校の門の横にある大石鳥居から、約150メートルの参道が続いています。この参道は、かつて流鏑馬が行われていた場所で、「馬場先」と呼ばれていました。

本殿（重要文化財）：正平18年（1363年）に三善貞行によって再建されたもので、入母屋造三間社、正面千鳥破風、軒唐破風付き、檜皮葺きの構造です。正面の向拝には丸みを帯びた唐破風が設けられ、屋根の斜面正面には三角形の千鳥破風が唐破風の上に位置しています。この屋根形式は室町時代の神社建築としては珍しく、貴重なものとされています。この建築様式は「錦織造」と呼ばれ、安土桃山時代から江戸時代にかけて建築された神社に多く採用されました。日光東照宮にも影響を与えたと言われています。
神門
祈祷所
神輿庫
拝殿（割拝殿）
社務所
遙拝所
天誅組記念碑：幕末の天誅組の変において、甲田村の大庄屋であった水郡善之祐が、天誅組河内勢の中心人物として息子の英太郎とともに決起したことを記念する碑です。決起から100年後の1963年（昭和38年）に水郡家の子孫らによって建立されました。

摂末社

摂社
天神社（重要文化財）：祭神は火産霊神、大国主神、恵比寿神。二間社流見世棚造で、文明12年（1480年）に建立されました。
春日社（重要文化財）：祭神は春日大明神、熊野速玉神。二間社流見世棚造で、文明12年（1480年）頃に建立されました。
末社
金刀比羅宮
弁才天社

文化財

重要文化財
錦織神社 3棟
本殿
摂社天神社本殿 - 文明12年（1480年）の棟札があります。
摂社春日社本殿

例祭

秋期大祭：10月第2土曜日

現地情報

所在地：大阪府富田林市宮甲田町9-46
* 交通アクセス：近鉄長野線川西駅下車後、徒歩約3分（西へ約200m）

錦織神社は、地域の歴史と文化を伝える貴重な存在です。訪れる際には、その美しい建築や静謐な雰囲気をぜひ堪能してください。

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