鍋島元武

鍋島元武は、江戸時代前期の肥前小城藩の第3代藩主です。

寛文2年（1662年）に第2代藩主・鍋島直能の次男として江戸で生まれました。延宝6年（1678年）に疱瘡を患い、容姿が変わってしまったことを理由に、父から指名されていた世子の座を辞退し、僧侶を目指して修行に励んだとされています。しかし、この修行がきっかけで文学に精通し、怪力で薙刀の名手とまで言われるようになりました。

延宝7年（1679年）に父・直能の隠居により家督を相続しました。第5代将軍・徳川綱吉から信任が厚く、元禄5年（1692年）には公家接待役、元禄6年（1693年）には奥詰に任じられています。文学の才能や縁戚関係から、水戸藩主・徳川光圀と親交があり、50通以上の書状が現存しています。また、綱吉から遠江浜松藩への加増移封の話もありましたが、綱吉の死去により実現しませんでした。

綱吉から重用された一方で、小城では生類憐れみの令が徹底され、領民が苦しんだという逸話も残っています。正徳3年（1713年）に次男の元延に家督を譲り隠居し、その7か月後の8月13日に顔と胸の腫瘍が原因で亡くなりました。享年52歳。

系譜

父：鍋島直能
母：伊賀子、長寿院（坊城俊完の娘、側室）
正室：春子、寿昌院（城島家永の娘）
子女：
鍋島元延（次男）：生母は寿昌院（正室）
鍋島直英（三男）：生母は寿昌院（正室）
* 三浦明喬継室

鍋島元武は、藩主としてだけでなく、文化人としても才能を発揮し、徳川綱吉との関係や徳川光圀との交流など、多岐にわたる足跡を残しました。

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