鍋島直英

鍋島直英は、江戸時代中期に活躍した大名であり、肥前国小城藩の第5代藩主です。元禄12年（1699年）に、3代藩主・鍋島元武の三男として小城で生まれました。しかし、庶子であったため、当初は佐賀藩の家老である多久鍋島家（後の多久氏）の4代当主・多久茂文の養子となり、多久茂村と名乗りました。

正徳元年（1711年）に茂文が亡くなると、家督を継承しました。その後、正徳4年（1714年）には、兄で4代藩主であった鍋島元延が亡くなったため、その養子として迎えられ、小城藩主の座を継承し、12月には従五位下・加賀守に叙位・任官しました。藩主となってからは、幕府の命令により、江戸城神田橋門番や朝鮮通信使、勅使の接待役などを務めました。

しかし、享保17年（1732年）には、享保の大飢饉が発生し、流行病や虫害によって1万人もの被害者を出すなど、藩の財政は次第に悪化していきました。このような状況の中、延享元年（1744年）9月12日に小城で45歳で亡くなりました。その後、家督は次男の鍋島直員が継ぎました。

直英の系譜は以下の通りです。

実父は鍋島元武、実母は城島家永の娘である春子（寿昌院）です。養父は多久茂文と鍋島元延です。正室は多久茂文の長女である千重子（本良院）です。

子には、次男に鍋島直員（生母は本良院）、三男に鍋島直照、四男に三浦能侯、五男に田尻維種がいます。娘には、鍋島直郷の正室となった於市（定慧院）、水町公忠の室、園田忠利の室、多久茂堯の正室となった千吉（後に於久米）がいます。

鍋島直英は、藩主として多忙な日々を送りながらも、藩政の運営に尽力しました。しかし、飢饉などの困難に直面し、財政難に苦しむこととなりました。彼の生涯は、江戸時代中期の大名としての苦悩と、その中で生き抜いた姿を伝えています。

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