鍋島茂真

鍋島茂真（なべしま しげまさ）は、江戸時代後期の肥前国佐賀藩において、藩政の中枢を担った人物です。須古鍋島家の13代当主であり、藩主・鍋島直正の右腕として、長きにわたり藩政を支えました。

文化10年（1813年）、佐賀藩9代藩主・鍋島斉直の十四男としてこの世に生を受けました。幼名は長之進といい、成長するにつれて中務、安昌とも呼ばれるようになります。文政5年（1822年）には、須古鍋島家12代当主・鍋島茂臣の養子となることが内定し、文政8年（1825年）には佐賀城東御門元鷹屋敷を拝領しました。この際、佐賀藩主のみが使用を許されていた花杏葉紋の使用を特別に許可され、同年、正式に家督を継承することとなりました。

天保元年（1830年）9月、茂真は藩の要職である請役差次に就任します。天保6年（1835年）5月に佐賀城二の丸が焼失した際には、その復興に尽力し、その後、請役所当役、すなわち執政として藩政の中枢を担うことになります。また、藩校である弘道館の学館頭人にも就任し、藩士の教育にも力を注ぎました。長崎の台場を増築し、防衛力強化に努め、大砲の鋳造も積極的に行い、藩の軍事力向上にも貢献しました。嘉永2年（1849年）9月には、長年の請役としての功績が認められ、代々花杏葉紋を拝領することを許されました。

しかし、安政6年（1859年）に家臣の不祥事が発覚し、責任を取る形で執政の職を辞することとなります。慶応2年（1866年）、54歳でその生涯を終えました。家督は子の茂朝が継承しました。明治44年（1911年）、その功績が改めて認められ、従四位を追贈されています。

鍋島茂真は、佐賀藩の近代化を推し進めた名君・鍋島直正を支え、藩政の改革に大きく貢献した人物として、歴史に名を残しています。彼の業績は、佐賀藩の歴史において重要な位置を占めており、後世に語り継がれるべきものと言えるでしょう。

参考文献
日本人物大辞典（講談社）

関連項目
義祭同盟

もう一度検索