鍵 (1983年の映画)

映画『鍵』の概要

1983年に公開された日本映画『鍵』（かぎ）は、谷崎潤一郎の同名小説を原作としており、三度目の映画化となります。本作は木俣堯喬が監督、若松孝二が演出を担当し、松尾嘉代と岡田眞澄が主演しています。当時、公開された作品は映連やキネマ旬報のリストには一般映画として掲載されていますが、封切り時のチラシには成人映画と記載されており、文化庁のリストでもR18+となっています。

物語の舞台

本作は、原作の設定を戦後の京都から1980年代の鎌倉に変更しており、現代的な背景が描かれています。ストーリーの中心では、松尾嘉代演じる郁子と岡田眞澄演じる剣持の関係が描かれており、強い性愛の表現も含まれることから当時の観客には挑戦的な内容と捉えられました。

撮影と公開

撮影は1983年秋に完了しましたが、公開日が定まらず、1984年の正月映画として新宿東映ホールで上映されることとなります。興行成績は芳しくなく、性行為の描写が映倫によって修正され、一部の重要なシーンがカットされたため、観客の関心を引くことができませんでした。特に、主演の二人が本番を演じているという噂は映画関係者の間で広まりましたが、それが事実であるか否かははっきりしないままとなっていました。

グアム島での無修正版

1985年4月、グアム島の劇場で無修正版が公開され、ここでの上映が大ヒットしました。この映画は、観光客をターゲットにしたプロモーションが功を奏し、新婚カップルを中心に満席が続く盛況を呈しました。「松尾嘉代のヘアや、松尾と岡田眞澄の性交場面では双方の性器はもちろん、インサートの性交動作まで映し出される」といった過激な内容の宣伝が行われ、海外編集によって本来の姿を取り戻したことが大きな話題となりました。

反響とその後

グアム島における無修正上映が日本でも報じられ、主演の二人に対するマスメディアの取材が殺到しました。しかし、松尾嘉代は取材を拒否し、自身への取材を避けるかたちとなったのに対し、岡田眞澄の方は、ギャラが通常の相場を超えるものであったことから、事務所が強く抗議する事例も見られました。その中でも、映画の製作に多く関与したスタッフも本番があったことを認めました。

ビデオ発売

映画の反響を受けて東映ビデオから修正されたバージョンのビデオが発売され、こちらもヒットを記録しました。1997年には、監督自らが再編集した「ディレクターズ・カット＜完全版＞」が製作・公開されています。

映画『鍵』は、公開当初はあまり注目されなかったものの、海外での成功を経て、改めてその存在意義が評価されるようになりました。性と愛、そして人間関係を深く掘り下げた本作は、今もなお多くの映画ファンに語り継がれています。

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