鎌倉型横穴墓

鎌倉型横穴墓について

鎌倉型横穴墓（かまくらがたよこあなぼ）は、神奈川県鎌倉市やその周辺地域で見られる特異な墓所の一つです。この墓は、古墳時代から奈良時代初期にかけて造られたもので、横穴墓の一種として位置づけられています。特に、その特徴的な設計として、玄室の奥壁に棺室を持つことが挙げられます。また、別名で「鍛冶ヶ谷式横穴墓」とも呼ばれています。

デザインの特長

神奈川県内でも特に鎌倉市では、古墳時代から奈良時代初期にかけて、山の斜面に作られた横穴墓群が数多く存在します。この中でも「鎌倉型」として知られるデザインは、入口から入ると死者を安置する玄室があり、玄室の床面は細長い台形状で、天井は蒲鉾型を形成しています。さらに玄室の奥には「棺室」と呼ばれる小さな部屋も掘られており、棺を置くためのスペースとして機能します。この独自の形状が、鎌倉型横穴墓の特徴的なポイントです。

なお、鎌倉時代には「やぐら」と呼ばれる直方体の洞窟型墓地も新たに造られましたが、横穴墓とやぐらとの間には直接的な系統関係は見られません。

呼び名の変遷

歴史的に見ると、鎌倉型横穴墓はかつて「鍛冶ヶ谷式」として広く知られていました。この名称は、神奈川県東南部を流れる㹨川（よこはまがわ）の流域に多く見つかることから由来しています。しかし、2004年ごろの研究により、実際には鎌倉市を中心に広がっていることが判明したため、その後「鎌倉型」として認識されるようになりました。

鎌倉型横穴墓の代表例

鎌倉型横穴墓の具体的な例としては、㹨川流域の横穴墓群や、七石山横穴墓群、さらには宮ノ前横穴墓群などがあります。これらの墓群は、古代墓制の重要な証拠として、考古学的に非常に価値のある遺跡です。

詳細な文献

このような横穴墓群について更に詳しく知るためには、いくつかの研究書や資料に目を通すことが有益です。代表的な文献として、鵠沼女子高等学校地歴研究部の『横浜市戸塚区㹨川流域の横穴群について』（1964年発行）、神奈川県考古学会が発行した『考古論叢神奈河 12集』の中にある田村良照の「相模の横穴墓」（2004年）、また埋蔵文化財センターが発行した『埋文よこはま31号』があります（2015年発行）。

参考文献

その他にも、栄の歴史編集委員会による『栄の歴史』（2013年）、埋蔵文化財センターの『栄区の重要遺跡』（2015年）など、鎌倉型横穴墓に関する知見を深められる資料が豊富にあります。これらの情報に目を通すことで、古代の墓制や文化についてより深く理解することができるでしょう。

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