鎌原重澄

鎌原重澄（かんばら しげずみ）

鎌原重澄は、戦国時代の武将で、上野国吾妻郡鎌原郷（現在の群馬県嬬恋村）を拠点とした国衆、鎌原氏の当主です。鎌原城を居城としていました。

生涯

重澄の父は鎌原宮内少輔幸重です。吾妻郡西部は、鎌倉時代に海野氏が地頭として入部して以来、戦国時代には鎌原氏、湯本氏、羽尾氏といった国衆が割拠していました。一方、吾妻郡東部では吾妻斎藤氏が勢力を拡大しており、鎌原氏ら三原荘の国衆は、吾妻斎藤氏と同盟関係を結んでいたとされています。

しかし、鎌原氏は隣接する羽尾氏との間で領土問題を抱え、永禄3年（1560年）には羽尾道雲と、それを支援する斎藤憲広によって鎌原城を攻められ、父の幸重は降伏を余儀なくされました。

翌永禄4年（1561年）に武田信玄が西上野への侵攻を開始すると、鎌原氏は吾妻斎藤氏から離反し、武田氏に従属しました。その後、吾妻斎藤氏も武田氏の傘下に入りましたが、信玄は斎藤憲広に対し、鎌原氏から横領した所領を返還するよう命じました。しかし、憲広はこれを拒否したため、重澄は信濃国の海野領で代替地を与えられることになりました。

永禄5年（1562年）には、重澄は武田氏の取次として、大戸浦野氏を武田氏に従属させることに成功しました。さらに永禄7年（1564年）には、斎藤憲広と羽尾道雲が武田氏から離反して没落したため、重澄は横領されていたとみられる所領を改めて与えられました。

その後、重澄は岩櫃城将となった真田氏の部隊に組み込まれ、その指揮下に入りました。天正3年（1575年）5月21日、長篠の戦いにおいて戦死しました。

重澄の生涯は、戦国時代の地方武将の姿をよく示しています。彼は、周辺の国衆との複雑な関係、強大な戦国大名である武田氏との関係の中で、自らの所領と一族の存続のために奔走しました。最終的には戦場で命を落としましたが、その足跡は、戦国時代という激動の時代を生き抜いた一人の武将として、歴史に刻まれています。

参考文献

久保田順一『戦国上野国衆辞典』戎光祥出版、2021年
柴辻俊六、平山優、黒田基樹、丸島和洋『武田氏家臣団人名辞典』東京堂出版、2015年

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