鎗田晟裕

鎗田 晟裕

鎗田 晟裕（やりた あきひろ）は、1995年11月27日に神奈川県で生まれた日本の元俳優です。幼少期から芸能活動を開始し、子役として数々の作品に出演することで注目を集めました。かつては、レプロエンタテインメントの若手部門にあたるレプロエンタテインメントネクストスターに籍を置いて活動していました。また、同じく元子役として知られる鎗田千裕は実妹にあたります。

彼のキャリアにおいて、特にその演技力が光った代表作として挙げられるのが、2007年に公開された映画『バッテリー』です。あさのあつこの同名ベストセラー小説を映画化した本作は、天才ピッチャー原田巧と彼を取り巻く人々の交流を描いた青春物語であり、彼は主人公の弟である原田青波という重要な役どころを演じました。病弱ながらも兄を深く慕い、その野球への情熱を理解する弟という繊細な役柄を見事に表現し、瑞々しい演技で観客の心に強い印象を残しました。この映画での出演は、彼の俳優としての存在感を広く知らしめる契機となりました。

同年には、テレビドラマの世界でも主要な役を務めています。TBS系列で放送され、高い人気を博したドラマ『山田太郎ものがたり』では、主演を務めた二宮和也演じる山田太郎の五人の弟妹の一人、山田次郎役を演じました。極度の貧困家庭ながらも、家族の絆を大切に明るく生きる山田家の日常を描いたこのドラマにおいて、次郎は物語にユーモアと感動をもたらす重要なキャラクターであり、鎗田は持ち前の表現力でこの役柄を魅力的に演じきり、多くのお茶の間で親しまれる存在となりました。

この時期以外にも、俳優として様々な分野で活動を展開しています。2007年には、テレビドラマ『夕陽ヶ丘の探偵団』の第3話にも出演しており、短い出演ながらも印象を残しました。さらに、2009年には時代劇ファンタジー映画『BALLAD 名もなき恋のうた』にも出演し、作品の世界観に彩りを添えています。

映像作品だけでなく、舞台への出演経験も持っています。舞台『作者をせかす六人の主人公たち』では、主要キャストの一人であるネロ役を演じ、生身の演技が求められる舞台上でもその才能を発揮しました。また、ソニーの製品CMにも起用されており、ハイビジョンハンディカムHC3の「運動会篇」では、カメラの前で活発な男の子を演じています。

これらの出演歴は、主に2000年代後半に集中しており、この時期が彼の俳優としてのキャリアの最盛期であったことを示しています。妹の鎗田千裕もまた同時期に子役として活動していたことから、兄妹で芸能界に身を置いていたことがわかります。

多くの作品で重要な役柄を演じ、将来の活躍が期待された鎗田晟裕でしたが、現在は俳優業からは引退しており、その後の活動については公にはなっていません。しかし、子役として短期間ながらも活躍した彼の残した演技は、特に映画『バッテリー』やドラマ『山田太郎ものがたり』での鮮烈なパフォーマンスを通じて、当時の視聴者や映画ファンの記憶に深く刻まれています。子役から大人の俳優へとキャリアを継続することは容易ではない道のりですが、鎗田晟裕が見せた輝きは、日本の映像エンターテイメントの歴史の一部として確かに存在しています。彼の今後の人生がどのようなものであるにせよ、かつて見せた才能は色褪せることはないでしょう。

もう一度検索