鎮江府

鎮江府（ちんこうふ）

鎮江府は、中国の歴史において、現在の江蘇省鎮江市周辺に位置した地方行政区分です。その歴史は、北宋時代に潤州が昇格したことに始まり、元代には一時的に鎮江路と名称を変えましたが、明代に再び鎮江府となりました。この地域は、時代とともにその範囲と行政構造を変化させながらも、重要な地方拠点として機能し続けました。

北宋時代：鎮江府の誕生

1113年（北宋の政和3年）、潤州が鎮江府に昇格したことが、鎮江府の歴史の始まりです。当時、鎮江府は両浙路（りょうせつろ）という行政区画に属しており、丹徒（たんと）、丹陽（たんよう）、金壇（きんだん）の3県を管轄していました。この時期、鎮江府は地方行政の中心として、地域の政治、経済、文化を統括する役割を担いました。

元代：鎮江路への改称

1276年（元朝の至元13年）、元によって鎮江府は鎮江路と改められました。鎮江路は江浙等処行中書省（こうせつとうしょこうちゅうしょしょう）という行政区画に属し、録事司（ろくじし）という役所と、丹徒、丹陽、金壇の3県を管轄しました。この時期、鎮江の行政機構は元朝の支配体制に組み込まれました。しかし、行政区画名が変わったものの、鎮江は依然として重要な地位を保っていました。

明代：鎮江府の復活

1356年、朱元璋（しゅげんしょう）によって、鎮江路は再び鎮江府と改められました。この時、鎮江府は南直隷（なんちょくれい）という行政区画に属し、丹徒、丹陽、金壇の3県を管轄しました。明代には、鎮江府は南直隷における重要な地方行政単位としての役割を果たし続けました。

清代：管轄範囲の拡大

清代に入ると、鎮江府は江蘇省に属するようになり、管轄範囲が拡大しました。具体的には、丹徒、丹陽、金壇の3県に加え、溧陽（りつよう）県と太平庁（たいへいちょう）という行政区画が加わり、計1庁4県を管轄しました。清代の鎮江府は、地域の経済発展と社会秩序の維持において重要な役割を果たしました。

民国時代：鎮江府の廃止

1913年、中華民国が成立すると、鎮江府は廃止されました。これにより、鎮江府という地方行政区分は歴史の舞台から姿を消しましたが、その後の行政区分にもその影響を残しています。鎮江市は、この旧鎮江府の地盤を引き継ぎ、現代においても重要な都市として発展を続けています。

鎮江府は、その歴史を通じて、中国の政治、経済、文化の発展に重要な役割を果たしました。時代とともにその形態を変えながらも、地域社会の中心として機能し、その存在は中国の歴史において重要な位置を占めています。

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