鎮海高等海員養成所

鎮海高等海員養成所：朝鮮半島における船員養成の歴史

鎮海高等海員養成所は、1919年から1945年までの間、日本統治時代の朝鮮に設置された船員養成学校です。現在の大韓民国海洋大学校の前身にあたり、朝鮮半島における海事教育の黎明期を支えた重要な機関でした。

概要

養成所は、現在の韓国慶尚南道付近に位置していました。卒業生は、当時の日本の商船学校卒業生と同等の資格を得ることができ、船員として国内外の海運業界で活躍していました。しかし、太平洋戦争末期には、その運命も大きく左右されることになります。

1945年8月15日の終戦間際、横須賀海兵団において教育訓練中であった海軍予備員候補者（高等商船学校、商船学校、鎮海高等海員養成所生徒）による東京特別陸戦隊の編成計画が持ち上がりました。しかし、この際、鎮海海員養成所出身者のみが隊員から除外されるという措置が取られました。その理由は定かではありませんが、当時の政治情勢や朝鮮半島出身者に対する差別的な扱いが影響した可能性も指摘されています。

一方で、海軍兵学校が外地人の入学を認めていなかったという背景もあり、独立後、鎮海高等海員養成所の卒業生の多くが韓国海軍に将校として入隊し、その創設と発展に大きく貢献しました。彼らは、海事に関する高度な知識と技術を持ち合わせており、新しい国軍の幹部として、その能力を発揮したのです。

著名な卒業生

鎮海高等海員養成所は、数多くの有能な人材を輩出しました。その中でも特に著名なのは、以下の3名です。

朴沃圭（パク・オッキュ）：第2代韓国海軍参謀総長
鄭兢謨（チョン・グンモ）：第3代韓国海軍参謀総長
李成浩（イ・ソンホ）：第5代韓国海軍参謀総長

これらの人物は、韓国海軍の黎明期を支え、その発展に大きく貢献しました。彼らの存在は、鎮海高等海員養成所が韓国の海事史において重要な役割を果たしたことを物語っています。

関連事項

鎮海高等海員養成所は、当時の朝鮮総督府逓信局とも深い関わりがありました。逓信局は、通信・郵便事業を管轄する官庁であり、海運業界とも密接な関係を持っていました。

参考文献

鎮海高等海員養成所の歴史を研究する上で、以下の文献が参考になります。

鎮海高等海員養成所同窓会 『鎮海高等海員養成所校史』
* 関口常春 『夜光珠 - 第六期 海軍予備練習生訓練記録』 松文堂 1995年

これらの文献は、当時の教育内容や学生生活、卒業生の活躍などを知る上で貴重な資料となります。

鎮海高等海員養成所は、短い期間ながらも、朝鮮半島における海事教育の基礎を築き、多くの有能な人材を輩出しました。その歴史は、現代の韓国海洋大学校に引き継がれ、今もなお、韓国の海事産業を支える人材育成に貢献しています。

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