鏡久綱

鏡久綱（かがみ ひさつな）

鏡久綱は、鎌倉時代に活躍した武士であり、生年は不明ですが、承久3年（1221年）6月6日にこの世を去りました。右衛門尉の官位を持ち、佐々木定綱の次男である佐々木定重の子として生まれました。彼は、近江国（現在の滋賀県）の鏡荘を領有したことから、鏡氏を称するようになりました。また、『尊卑分脈』によると、子に定廣がいたとされています。本拠地は近江井上館（鏡城）で、この地を拠点に勢力を拡大していきました。

承久の乱での活躍

承久3年（1221年）に勃発した承久の乱において、鏡久綱は後鳥羽上皇に味方し、宮方として参戦しました。彼は、美濃尾張川の大井戸渡に布陣した大内惟信の軍に属し、幕府軍との激戦を繰り広げました。幕府軍は、武田信光や小笠原長清が率いる東山道軍であり、久綱らはこれに果敢に立ち向かいました。しかし、戦況は幕府軍優位に進み、久綱は美濃方県郡河渡村の河渡城へ撤退し、そこで再戦に臨むこととなりました。

近江での戦いと壮絶な最期

その後、久綱は藤原秀康の軍に加わり、近江で北条泰時率いる幕府方の東海道軍を迎え撃ちました。しかし、藤原秀康は幕府軍の勢いを前に支えきれないと判断し、早々に宇治への撤退を決意しました。味方が次々と撤退していく中、久綱は一人残り、幕府方の大江佐房と戦いました。この戦いで彼は奮戦しましたが、遂に力尽き、自刃して果てました。彼の壮絶な最期は、当時の武士の気概を象徴するものとして語り継がれています。

死後の追贈

鏡久綱の死後、その功績が認められ、大正6年（1917年）に正五位が追贈されました。これは、彼の武勇と忠義を称えるものであり、彼の存在は後世にまで語り継がれています。

参考文献

• - 『近江源氏 2巻』（田中政三著 弘文堂）
• - 『吾妻鏡 25巻』

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