小笠原長清

小笠原長清について

小笠原長清（おがさわら ながきよ）は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて活躍した甲斐国の武将である。彼は甲斐源氏の一族に属し、加賀美遠光の次男として生まれ、後に信濃守護家小笠原氏初代の当主となった。さらに、弓馬術礼法小笠原流の創始者とも伝えられている。

生涯の概要

長清は、高倉天皇に仕えていた父・遠光の所領である甲斐国巨摩郡小笠原郷を相続した。彼が小笠原の姓を賜ったのは元服の際とされているが、歴史的資料によると、実際に小笠原氏と名乗るようになったのは後のことである。

治承4年（1180年）、以仁王が平家追討のために各地の源氏に令旨を発した際、長清は京で平知盛に仕えていた。母の病気を理由に帰国を希望するも、なかなか許可が得られず、最終的には高橋盛綱の助言を得て8月上旬に京を離れた。同月17日には源頼朝が挙兵し、長清はすぐに頼朝のもとに参じた。また、同じく平知盛の家臣であった橘公長を鎌倉の御家人に引き入れる手助けも行った。

同年12月には大倉御所の新造に関わり、治承・寿永の乱では多くの戦功を挙げた。養和元年（1181年）には源頼朝の仲介で有力な御家人・上総広常の娘を妻として迎え、その後、広常が頼朝により誅殺された際も、長清夫妻は連座することなく罪には問われなかった。寿永2年（1183年）には信濃国伴野荘の地頭に任じられたと考えられている。

翌月、源義仲の軍が京に入った後、後白河法皇と対立する中で、頼朝が派遣した義仲追討軍に長清も参加した。寿永3年（1184年）には、義仲を討った後、頼朝方として平氏追討のために西国へ進軍し、長清は「源範頼に相伴う人々」として名が挙げられた。一ノ谷合戦では平氏に大打撃を与えた源氏軍に随行し、その後も平家追討のための遠征に参加した。

文治元年（1185年）には、自身も信濃守に補任され、建久4年（1193年）には富士の巻狩りに参加するなど、公的活動を活発に行った。頼朝の死後、子の長経が二代将軍・源頼家に仕えていたことで、小笠原氏は一時低迷したものの、長清の姉妹が源頼家と源実朝の養育係を務め、小笠原氏は鎌倉における地位を維持した。

小笠原姓の由来とその後

長清が小笠原を名乗るようになったのは元暦元年（1184年）以降であり、その後は加賀美と小笠原の名が混在していた。巨摩郡にある小笠原の地名は現代の山梨県内に二か所存在し、長清が領した場所については、古文書の研究から今の南アルプス市小笠原にあたるという説が有力視されている。

長清は弓馬の術に秀でており、建久4年の流鏑馬奉納において選ばれた射手の一人でもあった。その技術により、武田信光や海野幸氏、望月重隆と並んで「弓馬の四天王」と称され、多くの武士に影響を与えた。

晩年と死

長清は仁治3年（1242年）に信濃にて81歳で死去した。彼の死後も小笠原氏は鎌倉時代を通じて重要な地位を占め、長清の功績は武士の中でも特に称賛されるべきものであった。

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