藤原秀康

藤原秀康：承久の乱を率いた悲劇の武将

藤原秀康（ふじわら の ひでやす）は、鎌倉時代前期に生きた武将です。彼は承久の乱において、後鳥羽上皇側の重要な大将軍としてその名を知られています。

生涯

『尊卑分脈』によると、秀康は藤原北家秀郷流の藤原秀宗の長男として生まれました。しかし、彼の父や祖父の事績はほとんど伝わっていません。特筆すべきは、『尊卑分脈』における父・秀宗に関する記述で、「実は和田三郎平宗妙の子である」とされています。

秀康は北面武士、西面武士として朝廷に仕え、畿内近国の武士の一族として勢力を持ちました。下野守、河内守、備前守、能登守、上総介などの国司を歴任し、その富は並ぶ者がいないほどであったと伝えられています。後鳥羽上皇の討幕計画に深く関与し、有力御家人であった三浦義村の弟・胤義を味方に引き入れるなど、その政治的手腕も発揮しました。

承久の乱での活躍と最期

承久3年（1221年）の承久の乱において、秀康は挙兵の際に京都守護であった伊賀光季を攻め殺すという重要な役割を担いました。また、従者の押松に義時討伐の院宣を持たせ、鎌倉へ送りましたが、押松は幕府方に捕らえられてしまいます。

『吾妻鏡』によれば、北条政子が御家人を説得するために行った演説で、秀康は胤義と共に上皇に讒言した逆臣として名指しされています。これは、幕府が彼を京方の中心人物と見なしていたことを示しています。秀康は京方の大将軍として、弟・秀澄と共に美濃国と宇治川で幕府軍と激戦を繰り広げましたが、最終的に敗北しました。乱後、後鳥羽上皇は秀康らを見捨て、乱を引き起こした謀臣として逮捕の院宣を出しました。秀康は奈良に潜伏しましたが、同年10月に河内国で捕らえられ、弟・秀澄と共に京で斬首されました。

秀康の血縁者

優れた歌人であった弟・秀能は出家することで死罪を免れ、後に遠島された後鳥羽法皇を慕い隠岐島へ渡りました。この事実は、秀康一族の悲劇をより一層際立たせています。

関連作品

* テレビドラマ「鎌倉殿の13人」（2022年、NHK大河ドラマ） - 演：星智也

藤原秀康は、承久の乱という歴史の転換期に、その運命を翻弄された悲劇の武将として、後世に語り継がれています。

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