鏡神社 (唐津市)

鏡神社の紹介

鏡神社（かがみじんじゃ）は、佐賀県唐津市の鏡山の麓に位置する神社であり、松浦総鎮守として崇拝されています。かつては鏡尊廟宮や松浦宮とも呼ばれ、多くの歴史的背景を持つ神社です。古代から松浦国の総社としてその名を馳せ、地元の人々にとって特別な存在です。神社は今も松浦地方の鎮守神として、多くの人に大切にされています。神社の祭祀には、楊柳観音菩薩なども含まれ、神道と仏教の融合が見られる点も特徴的です。

祭神

鏡神社には、本殿が2棟あります。一ノ宮には息長足姫命（神功皇后）が祀られており、二ノ宮には藤原広嗣が祭られています。『源氏物語』の玉鬘の巻には、「松浦なる鏡の神」と詠まれた歌があり、その名声は古典文学にも記録されています。

歴史

神社の由緒をたどると、三韓征伐の際に神功皇后が鏡山の山頂で戦勝を祈願し、その際に鏡を納めたとされています。その後、この鏡が霊的な光を放ち、神功皇后は自らの生霊を鏡に宿して祀ったとも伝えられています。また、帰途に陣痛に苦しめられた神功皇后が地元の人々から提供された湧き水で無事に出産を果たしたため、安産の神としても信仰を集めています。

藤原広嗣が処刑された後、十年目に創建された二ノ宮には、当時の国司である吉備真備によって広嗣が祀られることとなりました。広嗣の死後、神社は彼の怨霊を慰める目的でも重要な役割を果たしてきました。また、元々「松浦宮」と呼ばれていた神社は、僧侶空海によって「鏡神社」と改名されたとされています。

行事

鏡神社では、さまざまな季節行事が行われています。特に重要な行事には以下のようなものがあります。

• - 歳旦祭（1月1日 - 3日）: 新年を祝う祭りです。
• - 春季例大祭（4月9日、近い日曜日に実施）: 春を祝い、地域の繁栄を祈ります。
• - 雛供養祭: 春季例大祭に併せて行われる雛人形の供養です。
• - 夏越祭（7月の最終土曜日）: 夏の無事を祈ります。
• - 秋季例大祭（10月9日）: 伝統的な祭りで、近年は第3土曜日に行われることもあります。
• - 藤原祭（11月28日）: 藤原広嗣をしのぶ祭りです。
• - 除夜祭（12月31日）: 一年の最後を締めくくる祭りです。

文化財

鏡神社には文化財も多く存在します。その中でも特に重要な物は、絹本着色楊柳観音像であり、高麗時代の作品として佐賀県立博物館に寄託されています。また、鏡神社経塚出土品も市指定の重要文化財に指定されています。これらの財産は神社の歴史的価値を物語っています。

鏡神社は、その歴史的背景や文化財、地域との結びつきにより、多くの人々に愛され続けている神社です。訪れる人々は、静かな境内で、心静かに祈りを捧げることができるでしょう。

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