鏡開き

鏡開きとは

鏡開きは、正月に年[[神]]様や仏様にお供えした鏡餅を下げて食べる、日本の伝統的な年中行事です。この行事は、神仏への感謝を表し、無病息災を願う意味が込められています。お供えしたお餅は、汁粉や雑煮、かき餅（あられ）などにして食されることが一般的です。また、結婚式などの祝宴で酒樽の蓋を割る儀式も「鏡開き」と呼ばれています。

歴史と由来

鏡開きの起源は江戸時代に遡ります。当時の武家社会では、新年の11日（かつては20日）に、鎧などの武具に供えた具足餅を下げて雑煮などにして食べる風習がありました。これは「刃柄（はつか）」を祝う行事とされ、女性が鏡台に供えた鏡餅を開くことは「初顔」を祝う意味がありました。これらの武家の風習が一般に広まったとされています。

江戸城では、重箱に詰めた餅と餡が大奥にも贈られ、汁粉などにして食されました。この際、餅を刃物で切ることは切腹を連想させるため、手や木槌で割るのが習わしでした。「切る」「割る」という言葉を避けて「開く」という言葉が使われるようになったのも、このような背景があります。鏡は円満を、開くは末広がりを意味し、縁起が良いとされています。また、鏡餅を食べることは「歯固め」とも呼ばれ、硬いものを食べることで歯を丈夫にし、年[[神]]様に長寿を祈願する意味があります。

鏡餅の割れ方と占い

地域によっては、鏡餅の割れ方で占いをする風習も残っています。例えば、「鏡餅の割れが多いほど豊作になる」と言われることがあります。また、武家の具足式の流れを汲み、柔道場や剣道場などでは、現在も新年になると鏡開き式を行うところがあります。

日付の違い

鏡開きの日付は、地域によって異なります。関東地方では、松の内（1月7日）が終わった後の1月11日に行われるのが一般的です。これは、元々1月20日に行われていたものが、徳川家光の命日を避けるために1月11日に変更されたという歴史的背景があります。グレゴリオ暦の採用後、松の内が1月15日の地域では1月16日以降、通常は1月20日に行われます。京都府やその周辺地域では1月4日に行われることがありますが、その理由は明確ではありません。

西日本では、旧暦の2月15日に行われる涅槃会に合わせて、鏡餅を割って花供曽と呼ばれるあられを作り、無病息災を願う風習があります。このあられは、鼻くそと同音であることから「お釈迦様の鼻くそ」とも呼ばれることがあります。

文学と鏡開き

俳句の世界では、鏡開きは冬の季語として親しまれています。和歌においては、女性が鏡台に供えた鏡餅を開くことを「初顔」を祝うといい、二十日（はつか）にかける縁語とされています。また、「よわい延ぶる歯がため」という諺は、鏡開きの意義を表すものとして知られています。

鏡抜き（酒樽の蓋割り）

祝宴などで、菰（こも）を巻いた酒樽（菰樽）の蓋を木槌で割ることも「鏡開き」と呼ばれます。これは、酒屋で酒樽の上蓋を「鏡」と呼んでいたことに由来します。この儀式は「鏡抜き」とも呼ばれますが、「鏡開き」と呼ぶのが一般的です。ただし、月桂冠などの酒造メーカーでは、祝いの席では縁起を担ぎ「鏡開き」を用いることを推奨しています。

菰樽はもともと輸送用のものでしたが、その見栄えの良さから儀式にも使われるようになりました。現在では、装飾を施した菰が使われることが多く、酒造メーカーも鏡開き専用の酒樽を販売しています。

鏡開きを行う際は、事前に菰の上だけを開ける作業が必要となるため、イベントなどでは木槌で上蓋を叩くだけの状態にしておくのが一般的です。

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