長久保城

長久保城の歴史と遺構様子

長久保城（ながくぼじょう）は、かつて静岡県駿東郡長泉町下長窪にそびえた日本の城です。築城時期や築城者は不明ですが、鎌倉時代の初めに竹之下孫八左衛門頼忠によって構築された砦がその起源とされています。また、1439年に今川氏に仕えた大友親頼の三男である親政が、駿東郡の長久保を領地としていたことから、長久保氏の築城であるとも言われています。

城は愛鷹山の末端に位置し、南側には黄瀬川、西側には桃沢川、東側には梅ノ木沢川という三方を川に囲まれた地形を利用して縄張りが形成されていました。特に、東出丸と本丸の間には、藤生沢の流れを取り入れた水濠も存在していたとされています。

戦国時代の闘争

戦国時代、長久保城は今川氏、後北条氏、武田氏の勢力によって争奪の対象となりました。1545年の第二次河東一乱では、今川義元軍に攻撃され、北条幻庵の判断により開城されました。これにより北条軍は駿東地域から撤退しました。さらに武田信玄による駿河侵攻が行われ、1582年には武田氏が滅亡した際、城は徳川家康の手に渡りました。その後、1584年には牧野康成が城主となり、1590年の小田原征伐に際して、家康と豊臣秀吉が城の防衛について協議を行ったと伝えられています。

その後、家康の移封により長久保城は中村一氏の持城となりますが、1600年には彼が移封され、城は廃城となってしまいました。

現在の遺構

現代に至るまで、長久保城のほとんどの遺構は開発によって失われましたが、いくつかの遺構が残されています。例えば、城山神社公園には八幡曲輪の南端と南曲輪上段が含まれ、遊具やトイレと駐車場が設置されています。また、現在も三ノ丸の周辺で空堀や土塁が確認されており、解説盤も設置されています。

段曲輪や南曲輪の一部は現存しており、城山神社が建立された後もその形状を保っています。しかし、本丸や二ノ丸、大手門などは開発により消失し、多くの人々がその痕跡すら思い出せない状況です。

牛ヶ淵の悲劇

長久保城には、武田信玄によって1580年に落城した際の「牛ヶ淵の悲劇」という伝説があります。この伝説では、城の姫君である萩姫が牛車で逃亡を試みるも、敵に捕まり川に転落してしまったと言われています。この悲劇は、今もなお地元で語り継がれ、牛ヶ淵という名が残っています。現在、この場所には長泉町役場による解説盤が設置され、訪れる人々にその歴史を伝えています。

アクセス情報

長久保城は静岡県駿東郡長泉町下長窪に位置し、アクセスは徒歩やバス、自動車で可能です。JR御殿場線の長泉なめり駅から徒歩で約15分、またはバスで7分程度の距離にあります。自動車の場合は新東名長泉沼津ICまたは東名沼津ICからリーチできます。

その名残を感じさせる長久保城跡は、現地を訪れる者にとって歴史を感じる貴重な場所として存在し続けています。

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