長命寺 (和泉市)

長命寺（ちょうめいじ）について

長命寺は大阪府和泉市に位置する高野山真言宗に属する寺院です。この寺院の創建時期については正確には不明ですが、元々は同じ地にあった安明寺の塔頭で、瑞龍山大日寺と称されていました。安明寺の存在は、享保21年（1736年）刊の『和泉志』に記されており、また正平年間（1346年-1373年）の文献や源頼朝の寺領安堵状にもその名が見られます。これらの文書から、長命寺は鎌倉時代以前の建立であったことが伺えます。

歴史的背景

長命寺の前身である安明寺には、亀塚山観音寺という塔頭があり、その観音寺は第19番札所としての役割を果たしていました。また、その境内には八幡社が勧請され、若宮奥之院と呼ばれていたことも記録されています。歴史を通じて長命寺は七堂伽藍を持つ大寺院でしたが、織田信長による焼き討ちによって一度は衰退を余儀なくされました。

その後、元禄4年（1691年）に野中寺の玄道和尚により再興され、現在の「長命寺」と改称されます。明治時代の初めには観音寺と合併し、脇佛に十一面観音を祀り、宗派も真言律宗から高野山真言宗に改宗しました。このように長命寺は、歴史の中で様々な変遷を経て現在に至っています。

札所の役割

長命寺は、いくつかの霊場の札所にも指定されています。具体的には、和泉西国三十三箇所の第19番札所、河泉二十四地蔵霊場の第19番、そして和泉霊場の第38番として位置付けられています。このように多様な霊場に関連付けられることで、寺院は地域の信仰の中心として重要な役割を果たしています。

大阿闍梨の存在

長命寺には、開祖である空海の時代から続く大阿闍梨を名乗る僧侶が存在します。もし彼の主張が本当であれば、これは真言密教の世界における重大な歴史的意義を持つと言えるでしょう。彼は民間療法を通じて金銭を得ており、皮膚病や癌、精神病など多岐にわたる症例に対して三密加持を実施しています。実際の施術では、梵字を患部に書き、その過程で「光を入れる」という行為を行います。

交通アクセス

長命寺にアクセスするには、阪和線の和泉府中駅から徒歩約22分の距離に位置しています。周辺には自然も豊かで、散策にも適した環境が広がっています。

参考文献

1. 高野善英、中島重好 編『和泉西国三十三所めぐり ふる里の観音さま』和泉西国会、1985年。
2. 和泉市史編纂委員会 編『和泉市史』1巻（復刻）、大阪府和泉市役所、1980年。
3. 和泉市史編纂委員会 編『和泉市史』2巻（復刻）、大阪府和泉市役所、1980年。
4. 和泉市PTA協議会文化委員会 編『市内の古寺』和泉市教育委員会事務局〈和泉市PTA文庫 第3集〉、1981年3月。

長命寺はその歴史や文化的背景から、多くの人々に信仰されてきた場所であり、今後もその魅力を伝えていくことが期待されます。

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