長尾峠 (神奈川県・静岡県)

長尾峠（ながおとうげ）

長尾峠は、神奈川県足柄下郡箱根町と静岡県御殿場市にまたがる県境に位置する峠です。箱根山の外輪山を形成する峰の一つであり、その標高は911メートルに達します。古くから交通の要衝として知られ、現在も主要な道路が通過しています。

交通路とアクセス

この峠を貫通する主要な交通路は、静岡県道401号線および神奈川県道736号線であり、これらは通称「御殿場箱根線」として親しまれています。峠の直下には、この道路の一部として供用されている長尾隧道（長尾トンネル）があり、その全長は約150メートルです。トンネルの静岡県側出口からは、箱根外輪山の稜線に沿って南へ伸びる観光道路、箱根スカイラインが分岐しています。箱根スカイラインの入口手前には、広大な未舗装地が整備されており、駐車場として利用されています。この駐車場は、箱根外輪山を縦走する登山道やハイキングコースへのアクセスポイントとしても機能しています。

周辺環境と眺望

長尾峠やその周辺からは、優れた眺望を楽しむことができます。特に、北西方向には秀麗な富士山の姿を望むことができ、晴れた日にはその雄大な景観を堪能できます。前述の駐車場からアクセスできる箱根外輪山の登山道からは、さらに広範囲にわたる景色が開けています。

かつて存在した茶屋

かつて、長尾峠を越える長尾トンネルの東側、神奈川県側には、「見晴らし亭」と呼ばれる一軒の茶屋が存在しました。この茶屋は、その名の通り、周囲の素晴らしい景観を一望できることで知られていました。茶屋からは、眼下に広がる芦ノ湖をはじめ、遠方には大涌谷の噴煙、そして箱根の最高峰である神山や駒ケ岳の美しい稜線、さらには仙石原の広大な湿原地帯に至るまで、箱根の多様な自然と地形を一望する壮大なパノラマを楽しむことができたといいます。しかし、この茶屋はすでに営業を終えており、2013年の時点では既に閉店していました。現在、茶屋の跡地が残るのみですが、その脇からは芦ノ湖方面へと続くハイキングコースの入口が設けられており、これは神奈川県道737号長尾芦川線の起点ともなっています。

関連事項

長尾峠は、日本の数多くの峠の一つとして「日本の峠一覧」にも名を連ねています。また、人気漫画およびそれを原作とするアニメ作品『頭文字D』の「Fifth Stage」では、公道レースの舞台となるコースの一つとして登場したことでも知られています。

もう一度検索