長山串

長山串（チャンサンゴッ）について

長山串は、朝鮮民主主義人民共和国の黄海南道龍淵郡長山里に位置する岬であり、北に西朝鮮湾、南に京畿湾を望む景観が広がっています。この地域は、朝鮮半島の中間よりやや北方、黄海に最も突出した龍淵半島の先端部に位置し、海州からは約92km離れています。長山串の周囲は海食崖や奇岩が美しく連なり、さらに松青の林が広がり、自然の美を体感できる場所でもあります。

地形と景観

長山串の特筆すべき点は、その鋸歯状の層岩絶壁で、海に沿って高くそびえ立っています。これにより、奇岩が形成され、訪れる人々に独特の景観を提供しています。この地域は、北朝鮮政府によって長山串植物保護区に指定されており、自然保護や生態系の観察に適した場所ともなっています。

特に、長山串マル（장산곶마루）または武陵台（무릉대）と称される天然の展望台からは、周囲に広がる美しい景色や海を一望することが可能です。北方向には国祀峯（242m）、泰山峯（380m）の二つの山が連なる見所があり、登山者にとっても魅力的なスポットとなっています。

航海の難所

長山串はまた、航海の難所としても知られています。岬の突端に位置するため、周囲の海域は流れが複雑で渦を巻いていることから、歴史的に数多くの海難事故が報告されています。特に、塩瓮岩（염옹암）と呼ばれる二つの柱状の岩の近くでは、流れが曲がりうねっており、多くの船舶がこの区域で座礁や難破してきました。

昔の漁師たちはこの危険を理解し、長山串祠を建立し、海の神である海竜王に安全を祈る祭祀を行っていました。また、文学作品『沈清伝』では、この地の速い流れが描かれており、物語中の孝女沈清がここで身を捧げる運命をたどる舞台でもあります。

産業と地域経済

長山串周辺の松林は、李朝時代に船や宮室用の木材供給地として保護されてきた経緯があります。また、地域に分布する岩石は石灰岩と粘板岩を含んでおり、これらの素材は海州硯（うみしゅうけん）の原料として利用されていました。

さらに、北には夢金浦、南には九味浦という美しい海水浴場があり、白砂青松の風景が訪れる人々に喜ばれています。特に、夢金浦港や岬の南方に位置する韓国の支配地域、白翎島は水産業が盛んで、近海ではイシモチやフグなどの漁が行われています。加えて、大青島と小青島は捕鯨で有名であり、地域経済にとって重要な役割を果たしています。

このように、長山串は自然の美しさと歴史的背景を兼ね備えた地域であり、訪れる人々に多彩な体験を提供しています。

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