長岡城

長岡城の歴史と構造

長岡城（ながおかじょう）は、かつて新潟県長岡市に存在した日本の城である。越後国古志郡の中心地として位置し、江戸時代初期の元和2年（1616年）に堀直寄によって築城された。この城は、以前の蔵王堂城に代わって、越後長岡藩の居城として168年間にわたって重要な役割を果たしたが、戊辰戦争により破壊され、現在では遺構はほとんど残っていない。

長岡城の築城と藩の歴史

慶長3年（1598年）、上杉氏が陸奥会津に転封される際、堀親良が蔵王堂城主として越後に入封したが、親良の死去により藩は断絶。その後、堀忠俊の除封に伴い、松平忠輝が越後に入封し、蔵王堂城を其の属城とした。元和2年、松平が大坂の陣での失態により除封されると、堀直寄が蔵王に入封し新たに長岡に城を築いた。

城の立地は、信濃川から程よく離れた場所で、洪水の危険が少なく、自然の障壁を利用したものだった。直寄の築城の後、譜代大名の牧野忠成が藩主となり、藩の発展に寄与した。彼らの治世下で、城の防御施設や内外郭も整備された。

災害と再建

長岡城は火災や洪水、地震といった自然災害に悩まされた。享保13年の「三蔵火事」では城郭全体が全焼し、本丸再建に7000両もの資金が費やされた。さらに、天保15年の火災で城門や塀が消失するなどの被害が続いた。さらに、水害も度々発生し、城内が浸水する事態が頻発していた。

戊辰戦争による焼失

1868年、戊辰戦争の影響で長岡城はほぼ全て焼失。焼け残ったのは一部の施設のみで、残されたものも後に売却される運命にあった。幕末の頃、藩の制度が揺らぎ始め、戦争によって城はその役目を終えた。

廃城後の変化

戦後の長岡城跡地は、「遊覧場」として利用されることとなった。その後、明治31年に本丸跡の一部に長岡駅が開業し、さらに市街地は発展していった。現在の長岡市役所へと続く複合施設が建設されるなど、城跡は市の中心へと変貌を遂げた。

城の構造と特徴

長岡城は「苧引形兜城」と呼ばれ、信濃川と栖吉川を利用した自然の外郭の中に位置していた。城内には内郭と外郭を結ぶ堀や土橋があり、本丸にはわずかに石垣が用いられていた。また、天守は存在せず、三階櫓がその役割を果たしていた。すべての城門は万全の警備が施されており、17棟の城門が設けられていた。

現在の状況

長岡城の遺構はほとんど失われてしまったが、城跡の名称や地名にはその名残が見て取れる。資料館に展示される石垣の一部は長岡城の名残として現存し、訪れる人々にかつての歴史を伝えている。長岡市の誇る歴史的な資産として、今も多くの人々に愛されている。

長岡城は虚しくも失われたが、豊かな歴史を物語る場所であり、その過去は人々の心に深く残っている。

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