長岡空襲

長岡空襲：焦土と化した街と、復興への歩み

1945年8月1日午後10時30分から翌2日午前0時10分にかけて、アメリカ軍による長岡空襲が発生しました。この空襲は、新潟県長岡市中心部を標的とし、大量の焼夷弾が投下されました。その結果、市街地の約8割が焼失し、1480人以上の市民が犠牲となり、1万戸を超える家屋が被災する未曾有の大惨事となりました。

空襲の経過

テニアン島から飛び立った約125機のB29爆撃機は、硫黄島上空を経由し、長岡市上空に到着。午後11時30分頃から約1時間、焼夷弾による激しい爆撃が開始されました。E46集束焼夷弾、M69子弾、M47焼夷爆弾、そして黄燐焼夷弾など、多種類の焼夷弾が使用され、長岡市街地は瞬く間に火の海と化しました。

空襲警報の発令から、焼夷弾の投下、そして空襲警報の解除まで、市民はわずか数時間の中で、想像を絶する恐怖と絶望を味わったことでしょう。

被害状況

空襲による甚大な被害は、以下のとおりです。

死者数: 1488人以上（長岡市確認分、2019年1月17日時点）
罹災戸数: 11986戸
焼失面積: 市街地の約8割
投下爆弾量: 約924.3トン（焼夷弾163,456発）

この数字は、当時の長岡市民の生活、そして未来を奪ったことを如実に示しています。

空襲予告と高岡市の誤記説

7月27日から28日にかけて、アメリカ軍は空襲予告のビラを投下しました。長岡市を含む11都市が記載されていましたが、8月1日のビラには長岡市の記載がありませんでした。代わりに「高岡」と記載されていたという説があり、富山県高岡市の空襲被害が軽微だったことから、誤記ではないかという見方が存在します。しかし、高岡市には個別空襲計画があったものの、大規模な空襲は発生せず、被害は長岡市と比較するとはるかに少なかったことが確認されています。

瞽女（ごぜ）への影響

長岡市には越後最大の瞽女（ごぜ）の組合「長岡組」がありました。しかし、戦争によって転廃業が進み、空襲で瞽女宿が焼失、1名の瞽女が犠牲になったことで、瞽女文化は深刻な打撃を受けました。

復興

空襲からの復興は、1946年7月に新潟県が長岡復興建設部を設置したことから本格的に開始されました。将来の商工業都市としての発展を見据え、土地利用計画を重点的に行い、大手通りの拡幅や国道8号の直線化など、大規模な都市整備が実施されました。

慰霊と平和への願い

空襲犠牲者を慰霊するため、平潟公園には「長岡市戦災殉難者慰霊塔」、昌福寺には「戦災殉難者之墓」が建立されました。また、長岡戦災資料館が開館し、空襲の記憶と教訓を後世に伝える活動が行われています。長岡まつりも、空襲からの復興を祈念して始まった祭りです。

長岡空襲は、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めて私たちに突きつけます。空襲の記憶を風化させず、平和な未来を築いていくために、私たちは常にこの歴史を学び、心に刻み続ける必要があります。現在も、長岡市内には空襲関連の史跡が多く残されており、これらの史跡を訪れることで、当時の状況をより深く理解することができるでしょう。

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