長崎市営大橋球場
長崎市営大橋球場（ながさきしえい おおはしきゅうじょう）は、かつて長崎県長崎市に存在した市立の野球場です。長崎市がその管理運営を担っていましたが、施設の老朽化などから1995年に閉鎖・解体されました。その跡地には、現在、長崎県営野球場、通称「長崎ビッグNスタジアム」が建設されています。
この球場は、1951年4月3日に竣工し、本格的な供用が開始されました。場所は長崎市松山町、平和公園の敷地内という、平和を願う象徴的な場所に位置していました。開場当初から、高校野球や社会人野球といったアマチュア野球の公式戦、そして地域住民による一般利用の場として多くの人々に利用され、親しまれました。
プロ野球の試合会場としても活用されました。かつて福岡県を保護地域としていた西鉄ライオンズなどがオープン戦を実施した実績があります。特に、ヤクルトスワローズは、球団オーナーであった松園尚巳氏が長崎県出身という縁もあり、1990年までほぼ毎年1試合の公式戦を開催していました。これらの試合は、しばしば佐世保野球場での開催と組み合わせた2連戦のデーゲームとして行われることが通例でした。このように、プロ野球の熱戦が長崎の地で繰り広げられる貴重な機会を提供していました。
また、野球の試合に限定されず、多目的なイベントにも使用されました。例えば、1965年8月8日には、国内外から多数の参加者を集めた第11回原水爆禁止世界大会の会場としても使用されています。これは、長崎市営大橋球場が単なるスポーツ施設という枠を超え、地域の集会や平和を訴える重要な催事の場としても機能していたことを物語っています。
しかし、開場から長い年月が経過するにつれて、施設の老朽化は避けられないものとなりました。特に、グラウンドの安全対策における問題点が深刻に指摘されるようになりました。外野フェンスのラバー部分が約1メートル程度の高さしかなく、守備などで選手がフェンスに衝突した際に、衝撃を十分に吸収できずに負傷する危険性が高いことが懸念材料でした。このような状況を踏まえ、球場を抜本的に改善する必要性が高まりました。
協議の結果、長崎市から長崎県に管理を移管した上で、最新の基準を満たす本格的な野球場として全面的な建て替えを行う方針が決定されました。この決定に伴い、長崎市営大橋球場は1995年に閉鎖され、解体されました。跡地では大規模な建設工事が進められ、1997年に新しい長崎県営野球場として「長崎ビッグNスタジアム」が開場しました。
一方、長崎市は、市営の野球場機能を引き続き提供するため、郊外の柿泊町地内で開発が進められていた長崎市総合運動公園内に新たな野球場を建設しました。この新球場は1998年に「長崎市総合運動公園かきどまり野球場」として開場し、かつて大橋球場が担っていた市営野球場としての役割を受け継いでいます。
閉鎖される時点での長崎市営大橋球場の主な施設概要は以下の通りでした。
両翼：92メートル
中堅：120メートル
内野：クレー舗装
外野：天然芝
照明設備：なし
収容人員：約1万1千人
長崎市営大橋球場では、開場から閉鎖までの期間に、合計26試合のプロ野球公式戦が開催されました。その内訳は、セ・リーグが25試合、パ・リーグが1試合です。特にヤクルトスワローズ主催の試合が最も多く行われました。以下に主な開催実績を列挙します。
1951年5月17日 大洋ホエールズ vs 大阪タイガース
1951年8月9日 阪急ブレーブス vs 毎日オリオンズ
1952年4月16日 大洋ホエールズ vs 松竹ロビンス（ダブルヘッダー）
1952年9月11日 大洋ホエールズ vs 読売ジャイアンツ
1953年10月13日 大洋松竹ロビンス vs 国鉄スワローズ（ダブルヘッダー）
1959年9月9日 大洋ホエールズ vs 広島カープ（ダブルヘッダー）
1969年4月26日 大洋ホエールズ vs アトムズ
1971年9月14日 ヤクルトアトムズ vs 広島東洋カープ
1971年9月15日 ヤクルトアトムズ vs 広島東洋カープ
1975年8月30日 大洋ホエールズ vs 中日ドラゴンズ
1977年5月28日 ヤクルトスワローズ vs 中日ドラゴンズ
1978年7月16日 ヤクルトスワローズ vs 中日ドラゴンズ
1979年5月12日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
1979年5月13日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
1981年5月17日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1982年5月16日 ヤクルトスワローズ vs 中日ドラゴンズ
1983年5月15日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1984年5月13日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1986年5月10日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
1987年5月10日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1988年5月15日 ヤクルトスワローズ vs 横浜大洋ホエールズ
1989年5月14日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
* 1990年5月13日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
これらの試合は、当時の長崎の野球ファンにとって大きな楽しみであり、歴史に残る多くの名場面がこの球場で生まれました。
長崎市営大橋球場は、約40年間にわたり、長崎の野球文化の発展、スポーツ振興、そして地域住民の活動の場として重要な役割を果たしました。施設の老朽化によりその歴史に幕を下ろしましたが、その名跡は新たな長崎県営野球場であるビッグNスタジアムと、長崎市が新設したかきどまり野球場へと引き継がれています。
歴史と役割
この球場は、1951年4月3日に竣工し、本格的な供用が開始されました。場所は長崎市松山町、平和公園の敷地内という、平和を願う象徴的な場所に位置していました。開場当初から、高校野球や社会人野球といったアマチュア野球の公式戦、そして地域住民による一般利用の場として多くの人々に利用され、親しまれました。
プロ野球の試合会場としても活用されました。かつて福岡県を保護地域としていた西鉄ライオンズなどがオープン戦を実施した実績があります。特に、ヤクルトスワローズは、球団オーナーであった松園尚巳氏が長崎県出身という縁もあり、1990年までほぼ毎年1試合の公式戦を開催していました。これらの試合は、しばしば佐世保野球場での開催と組み合わせた2連戦のデーゲームとして行われることが通例でした。このように、プロ野球の熱戦が長崎の地で繰り広げられる貴重な機会を提供していました。
また、野球の試合に限定されず、多目的なイベントにも使用されました。例えば、1965年8月8日には、国内外から多数の参加者を集めた第11回原水爆禁止世界大会の会場としても使用されています。これは、長崎市営大橋球場が単なるスポーツ施設という枠を超え、地域の集会や平和を訴える重要な催事の場としても機能していたことを物語っています。
閉鎖の経緯
しかし、開場から長い年月が経過するにつれて、施設の老朽化は避けられないものとなりました。特に、グラウンドの安全対策における問題点が深刻に指摘されるようになりました。外野フェンスのラバー部分が約1メートル程度の高さしかなく、守備などで選手がフェンスに衝突した際に、衝撃を十分に吸収できずに負傷する危険性が高いことが懸念材料でした。このような状況を踏まえ、球場を抜本的に改善する必要性が高まりました。
協議の結果、長崎市から長崎県に管理を移管した上で、最新の基準を満たす本格的な野球場として全面的な建て替えを行う方針が決定されました。この決定に伴い、長崎市営大橋球場は1995年に閉鎖され、解体されました。跡地では大規模な建設工事が進められ、1997年に新しい長崎県営野球場として「長崎ビッグNスタジアム」が開場しました。
一方、長崎市は、市営の野球場機能を引き続き提供するため、郊外の柿泊町地内で開発が進められていた長崎市総合運動公園内に新たな野球場を建設しました。この新球場は1998年に「長崎市総合運動公園かきどまり野球場」として開場し、かつて大橋球場が担っていた市営野球場としての役割を受け継いでいます。
施設概要
閉鎖される時点での長崎市営大橋球場の主な施設概要は以下の通りでした。
両翼：92メートル
中堅：120メートル
内野：クレー舗装
外野：天然芝
照明設備：なし
収容人員：約1万1千人
プロ野球公式戦開催実績
長崎市営大橋球場では、開場から閉鎖までの期間に、合計26試合のプロ野球公式戦が開催されました。その内訳は、セ・リーグが25試合、パ・リーグが1試合です。特にヤクルトスワローズ主催の試合が最も多く行われました。以下に主な開催実績を列挙します。
1951年5月17日 大洋ホエールズ vs 大阪タイガース
1951年8月9日 阪急ブレーブス vs 毎日オリオンズ
1952年4月16日 大洋ホエールズ vs 松竹ロビンス（ダブルヘッダー）
1952年9月11日 大洋ホエールズ vs 読売ジャイアンツ
1953年10月13日 大洋松竹ロビンス vs 国鉄スワローズ（ダブルヘッダー）
1959年9月9日 大洋ホエールズ vs 広島カープ（ダブルヘッダー）
1969年4月26日 大洋ホエールズ vs アトムズ
1971年9月14日 ヤクルトアトムズ vs 広島東洋カープ
1971年9月15日 ヤクルトアトムズ vs 広島東洋カープ
1975年8月30日 大洋ホエールズ vs 中日ドラゴンズ
1977年5月28日 ヤクルトスワローズ vs 中日ドラゴンズ
1978年7月16日 ヤクルトスワローズ vs 中日ドラゴンズ
1979年5月12日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
1979年5月13日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
1981年5月17日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1982年5月16日 ヤクルトスワローズ vs 中日ドラゴンズ
1983年5月15日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1984年5月13日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1986年5月10日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
1987年5月10日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
1988年5月15日 ヤクルトスワローズ vs 横浜大洋ホエールズ
1989年5月14日 ヤクルトスワローズ vs 広島東洋カープ
* 1990年5月13日 ヤクルトスワローズ vs 阪神タイガース
これらの試合は、当時の長崎の野球ファンにとって大きな楽しみであり、歴史に残る多くの名場面がこの球場で生まれました。
長崎市営大橋球場は、約40年間にわたり、長崎の野球文化の発展、スポーツ振興、そして地域住民の活動の場として重要な役割を果たしました。施設の老朽化によりその歴史に幕を下ろしましたが、その名跡は新たな長崎県営野球場であるビッグNスタジアムと、長崎市が新設したかきどまり野球場へと引き継がれています。
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